[上海 16日 ロイター] - 米アップル (O:AAPL)が発表したiPhoneの廉価版「SE」の新機種について、中国で大きな売れ筋商品になる公算は小さそうだ。アナリストは同じ価格帯で中国の新スマートフォンの大半が対応している第5世代(5G)の機能に欠けていることがネックだと指摘している。
SEの新機種は価格が399ドルからと、従来の廉価版「8」の販売価格449ドルを50ドル下回る。しかし、ソーシャルメディアサイト「微博」が実施した調査では、回答者約35万人の6割が399ドルの機種を購入することはないと答えた。
購入するとした回答者の割合は約2割で、残りは購入を検討するとした。ただ、いずれも回答理由は尋ねられておらず、多くはコメントで価格がさらに下がれば興味があるとした。
アップルにとって中国は販売の約15%を占める3番目に大きな市場。中国での市場シェアは、中国のアンドロイド搭載ブランドが比較的ハイエンドな機種を安定的に発売する中、過去数年で縮小している。
こうした競合ブランドが中国の通信ネットワークに準拠した5G機器を発売する中、アップルは5G対応のiPhoneをまだ発売していない。
中国を拠点とするアナリストの大半はiPhoneのSEについて、ハイエンドのiPhone11に約700ドルを費やしたくないアップル信者を主なターゲットにしていると指摘。調査会社Canalysで世界のスマートフォン業界を担当しているモー・ジャー氏は「SEの新機種は5G対応を必要としていないミドルレンジユーザーを間違いなく引き付けるだろう」と話す。
新型コロナウイルス流行が衰えた後のコンシューマー機器需要を見通す上でもSEの評判は注目されている。中国はアップルストアが再開している唯一の主要市場だ。
政府統計によると、3月の中国ベンダー向けiPhone出荷台数は250万台と、前年同月比約2割増加。中国で新型コロナ流行がピークだった2月は50万台にとどまっていた。
SEの新機種は17日からオンラインで注文を受け付け、24日に発売する。