[東京 30日 ロイター] - 村田製作所 (T:6981)は30日、2021年3月期の通期当期利益は前年比18.0%減の1500億円になりそうだと発表した。新型コロナウイルスの影響による電子部品の需要落ち込みを見込む。コロナの影響は上期に終息し、下期から回復に向かうと想定している。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均は1844億円。
村田恒夫会長兼社長は電話会見で「極めて先行きが不透明な中、短期的な経営へのインパクトの最小化と中長期的な成長機会への備えの両面を意識しながら事業運営していく」と述べた。
新型コロナウイルスの影響による電子部品需要の落ち込みを見込み、売上高は同6.8%減の1兆4300億円を予想する。利益面では原価低減の取り組みを進めるものの、製品価格の値下がり、設備投資による減価償却費の増加などの減益要因が予想されるという。営業利益予想は17.1%減の2100億円。
設備投資は2000億円を計画する。
部品需要はスマートフォン向けが10%減、自動車向けが20%減を見込む。売上高へのコロナ影響は1700億円程度と見ている。
想定為替レートは1ドル107円、1ユーロ117円。
配当予想は中間配当と期末配当をともに1株あたり55円とし、年間配当を110円とした。投資資本配当率を株主還元指標に採用した。
2020年3月期の当期利益は前年比11.6%減の1830億円だった。村田会長兼社長は「市場環境は5G関連の需要拡大があったが、電子部品の在庫調整の影響を受け、需要に弱さが見られた」と総括した。
売上高は、基地局向けやカーエレクトロニクス向けで積層セラミックコンデンサが増加したが、スマートフォン向けで樹脂多層基板やリチウムイオン二次電池、積層セラミックコンデンサが減少した。
利益面ではコストダウンによる増益要因があったが、操業度低下や製品価格の値下がり、減価償却費の増加、コロナ影響による海外生産拠点の稼働停止などの減益要因があった。
*内容を追加しました。
(平田紀之)