[東京 30日 ロイター] - 東京エレクトロン (T:8035)は30日、2020年3月期の営業利益が前年比23.6%減の2372億円だったと発表した。半導体製造装置とフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置に対する設備投資の調整の影響で売上高が減少し、7年ぶりの営業減益となった。
河合利樹社長は電話会見で「会社予想を上回って着地し、売り上げ・利益ともに目標を達成した」とアピールした。売上高は同11.8%減の1兆1272億円。従来予想は1兆1100億円だった。営業利益の従来予想は2250億円。
半導体製造装置の売上高は同9.1%減で会社予想を上回った。19年後半からロジック・ファウンドリ系でデータセンターや次世代通信網「5G」対応スマホ向けの高性能プロセッサーの需要が強くなり、最先端世代向け装置への投資が大きく増加したという。一時的な調整局面にあったNANDフラッシュメモリ、DRAMは、期の後半から需給バランスの改善が見られ回復基調に転じたが、メモリ向け売り上げは前期から減少した。
FPD製造装置の売上高は同40.6%減で会社予想を下回った。テレビ用大型液晶パネル向けの設備投資の動きは継続したが、モバイル用中小型有機ELパネル向け設備投資は調整が見られた。FPD市場は中国比率が高く、コロナ影響が大きかった。もっとも、同社は装置の設置完了で売り上げを計上する基準を採用しているため「期ずれが起きただけで、前期に計上できなかった案件は今期に計上する予定」(布川好一取締役)という。
通期の当期利益は前年比25.4%減の1852億円だった。
四半期では、1―3月期の売上高は10―12月期に比べ9.5%増の3233億円で、売上総利益率は0.4ポイント上昇の40.2%となった。営業利益率は、顧客ミックスの悪化で0.2ポイント低下の21.7%だった。
20年3月期の配当予想は、期末配当293円としていた従来予想を342円と増額修正し、年間配当を539円から588円に引き上げた。
21年3月期の通期業績予想は、合理的な予想が可能となった時点で速やかに開示するとした。リフィニティブがまとめた当期利益のアナリスト予想の平均は2081億円。
河合社長は「半導体製造装置の引き合いは強い」と指摘。データトラフィックの増加に伴い、データセンターや5Gスマホ向け半導体の需要が旺盛なほか、堅調なロジック・ファウンドリ系の投資とともに、メモリ投資も回復しているという。
コロナの影響は注視する必要があるとしたが「顧客の投資計画に大きな変更はない。市場の成長に向けた積極的な投資を継続する」(河合社長)とし、開発費1350億円、設備投資560億円規模を想定すると説明した。
(平田紀之) OLJPTEC Reuters Japan Online Report Technology News 20200430T134143+0000