[13日 ロイター] - 米ネットワーク機器大手シスコシステムズ (O:CSCO)が13日発表した第3・四半期(1─3月)決算は、売上高と実質利益が市場予想を超えた。新型コロナウイルス感染防止対策として世界各地でロックダウン(都市封鎖)が実施され、在宅勤務や各種インターネット利用に必要な同社製品への需要が高まった。時間外取引で株価は一時3%近く上昇した。
売上高は前年比8%減の120億ドルだったが、リフィニティブのアナリスト予想平均の117億ドルを上回った。一時的要因を除く1株利益は0.79ドル、アナリスト予想平均は0.69ドルだった。
チャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)は「パンデミックにより、かつてないスピードと規模で世界中の企業が事業のデジタル化を進め、従業員のテレワークを後押ししている」と述べた。
同社のビジネス向けビデオ会議アプリ「ウェブエックス」の利用も増えたが、同アプリを手掛ける部門の売上高は減少した。ただ、これについて幹部らは、ウェブエックス事業が力強い伸びを示す一方で同部門が提供する旧型ソフトウエアの販売が減少したためと説明した。
第4・四半期の売上高見通しは前年比8.5─11.5%減の114億7000万-118億6000万ドルと通常よりも幅広い予想範囲となった。アナリストは118億2000万ドルと見込んでいる。
同社幹部らはコーポレートキャンパスの敷地内に最新世代のWifiを導入するなどといった大規模な顧客向け事業が特に小売りセクターなど新型コロナで打撃を受けている業界で延期になるケースが出ていると指摘した。
また、ケリー・クレイマー最高財務責任者(CFO)はロイターに対し、欧州の第5世代(5G)移動通信システム機器メーカーのノキア (HE:NOKIA)とエリクソン (ST:ERICb)について、シスコが求めるような利益を生み出していないとの見解を改めて示した。
両社を巡っては米当局者らが今年に入り、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対抗するため、米企業による買収を検討すべきとの見解を表明。ロビンスCEOは2月の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、これを否定していた。
クレイマーCFOはロイターに対し、シスコは基地局向け機器ではなく、データのルーティング機器やソフトを提供することで5G通信網から利益を得ることが可能との見解を示した。
同CFOは「この分野にはまだ参入していない。必ずしも採算性の高い分野ではない」と指摘。「この分野で買収を行う場合、当社がソフトウエアの分野で行ってきた路線に沿ったものになるだろう」と語った。