[ブリュッセル 13日 ロイター] - 米アルファベット (O:GOOGL)傘下のグーグルが計画するウエアラブル端末メーカー、フィットビット (N:FIT)の買収を巡り、欧州の消費者団体BEUCは13日、消費者の利益を損ない、革新を妨げる可能性があるとの懸念を示した。
グーグルは昨年11月、フィットビットを21億ドルで買収すると発表。競合企業が乱立するウエアラブル端末市場で米アップル (O:AAPL)や韓国のサムスン電子 (KS:005930)の追い上げを目指している。
しかし、この取引によりフィットビットが収集する1日当たりの歩数やカロリー消費量など、ユーザーの健康状態に関する貴重なデータをグーグルが取得することになるとの懸念が出ている。
欧州32カ国の45団体で構成されるBEUCは、グーグルの買収計画について、デジタル市場でかつてないほどの支配力を得ようとするインターネット大手企業の戦略だと指摘。
「COVID─19(新型コロナウイルス感染症)関連のデータを含め、フィットビットのウエアラブル端末の利用を通じて収集される消費者データを取得すれば、グーグルは独自の利益のためにそのデータを使用することが可能になり、他社の競争力が阻害される可能性がある」と訴えた。
さらに「この取引は、革新を妨げ、オンライン広告や検索、ヘルス、ウエアラブル端末といった複数の市場で消費者の選択に影響を及ぼす可能性がある。デジタル市場だけでなく、全ての欧州市民の生活や健康、福祉における重要な部分にかかわる恐れがある」とした。
グーグルは「個人情報を他社に提供することはない。フィットビットが保有するユーザーの健康などに関するデータはグーグルの広告には利用されず、ユーザーは自身のデータの削除や移動などが可能になる」とし、昨年11月の買収計画発表時のコメントを繰り返した。