[28日 ロイター] - 米フェイスブック (O:FB)のヘイトスピーチ(憎悪表現)対策が不十分だとして、大手企業に同社への広告掲載をボイコットするよう呼び掛けている団体は27日、米国外向けの広告についてもボイコットを呼び掛けていく方針を示した。
欧州の大手企業への呼びかけも開始するという。
非営利団体「コモン・センス・メディア」のジム・ステイヤー最高経営責任者(CEO)がロイターとのインタビューで明らかにした。
この広告ボイコットは、米国の公民権団体などが今月開始した「#憎悪を利益にするな(#StopHateforProfit)」というキャンペーン。ベライゾン・コミュニケーション (N:VZ)、ユニリーバ (L:ULVR)など160社以上がすでにボイコットへの参加を表明している。
同CEOは「次の未開拓分野は国際的な圧力だ」とし、欧州の規制当局がフェイスブックに厳しい姿勢で臨むことを期待すると述べた。
欧州委員会は6月、フェイスブックなどのハイテク企業に対し、新型コロナウイルスの偽情報にどのように対応しているか毎月報告するよう求める新たな指針を発表した。
フェイスブックは28日、さらに作業が必要であることを認め、公民権団体や専門家と連携して、ヘイトスピーチ対策を一段と強化する方針を示した。
同社によると、人工知能(AI)への投資により、ヘイトスピーチの90%をユーザーからの報告前に把握することが可能になっているという。
広告ボイコットの動きが米国外にも広がれば、フェイスブックの広告収入がさらに目減りするが、業績に重大な影響は出ないとみられている。
例えばユニリーバは26日、フェイスブック上での米国向けの広告を年内中止することを明らかにしたが、調査会社リチャード・グリーンフィールド・オブ・ライトシェド・パートナーズによると、これはユニリーバのフェイスブック向け年間広告額2億5000万ドルの約10%に過ぎないという。
ステイヤーCEOは、ユニリーバやホンダなど国際的な企業に対し、米国向け広告の一時停止だけではなく、世界全体でフェイスブックへの広告掲載を中止するよう求めていく方針を示した。
フェイスブックの年間広告収入は700億ドル。全体の4分の1は大企業からの収入、大部分は中小企業からの収入となっている。