[ミラノ 10日 ロイター] - イタリアの通信大手テレコム・イタリア(TIM) (MI:TLIT)が、イタリアとブラジル両国で構築を準備している携帯電話の次世代通信規格「5G」用の機器を巡り、今月実施行う入札から中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)を排除する方針であることが10日、分かった。2人の関係者が明らかにした。
入札は、携帯利用者の通信を制御する交換機といった重要機器で構成される基幹通信網「コアネットワーク」向けの機器を対象に実施。入札へ招待されている事業者には、米シスコシステムズ、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアなどの通信機器大手が名を連ねているという。
TIM関係者はここからファーウェイが外されたことについて「供給先の多様化という当社の方針の一環だ」と話した。イタリアとブラジルのファーウェイ担当者はコメントを控えた。
ファーウェイには、イタリアでの入札で巻き返す道はないが、同社のブラジル担当者によれば、同国では後日の再入札に招待される可能性もあるという。
TIMの計画を知る関係者によれば、来年にもブラジル政府は、周波数帯を独占的に利用する事業者を競売で決める「電波オークション」を行うという。この新たに割り当てられる5G用の周波数帯をめぐるオークションの後、状況に応じて、5G用機器の購入を目的とした2度目の入札が行われる公算が大きいという。
ファーウェイはイタリアでは、従来の通信規格に基づくTIMのコアネットワークの構築には一切関与していないが、ブラジルではTIMの現地法人が展開するコアネットワーク向けに4G用の機器を供給している。
コアネットワーク上は、機密性の高いデータが処理されており、米国は5Gの通信網からファーウェイを排除するよう、西側同盟国に求めている。
8日付の伊リプブリカ紙は、イタリア政府がファーウェイを5Gの通信網から排除するか否かを検討中だと報じていた。同社は民間企業としてのこれまでの実績を主張した上で「デジタル化するイタリアのセキュリティーと発展は、根拠に基づかない申し立てなどではなく、事実に立脚したアプローチによるものでなければならない」と発言していた。
ファーウェイは、TIMのブラジル法人を含む同国の主要な通信事業者と5Gの運用に当たってのテストを成功裏に終えている。
トランプ米大統領に近いブラジルのボルソナロ大統領は先月、5G通信網の展開では主権のほか、データのセキュリティー要件を満たさなければならないと述べていた。