[ルクセンブルク/ダブリン 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)の一般裁判所は15日、米アップル (O:AAPL)に130億ユーロ(150億ドル)の追徴課税を行うようアイルランド政府に命じた欧州委員会の決定を無効と判断した。大手IT(情報技術)企業への締め付けを目指す欧州委にとって打撃になる。
欧州委は4年前、アップルがアイルランドで不正な税制優遇措置を受けており、2014年の税率が0.005%となるなど、過去20年間にわたって税率が人為的に引き下げられていたと主張。アイルランド政府に追徴課税を命じていた。
一般裁判所は、欧州委が必要な法的根拠を示しておらず、アップル子会社2社が選択的優遇を受けていたとの主張は誤りと指摘した。
敗訴した側は欧州司法裁判所に上訴することができる。
EUの一般裁判所は昨年、欧州委員会がオランダに命じた米スターバックス (O:SBUX)に対する最大3000万ユーロの追徴課税についても無効とする判決を下している。
アップルは一般裁の判断を歓迎するとした上で、訴訟の論点は納税額ではなく、納税が求められる場所だとコメントした。アイルランドは、アップルを特別扱いしていないことは常に明白だとした。
欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は裁判所の決定を精査し、次の対応を検討すると表明した。
ニュー・カレッジ・オブ・ヒューマニティーズ(ロンドン)の法学部長、ディミトリオス・キリアジス氏は「今回の欧州委の敗北は、スターバックス訴訟での敗北と構図が非常によく似ている。つまり、法的原則の問題では勝ったが、立証責任の分配の問題で負けたということだ」と指摘。欧州委は今後、税制上の裁定がどのようにアップルに選択的優位性を与えたのかを正確に立証してくる可能性が高いとした。
*内容を追加しました。