[東京 28日 ロイター] - 東京エレクトロン (T:8035)の笹川謙経理部長は28日のオンライン会見で、米中摩擦が激しさを増しているが、市場の「変化点ではない」と指摘、見通しに変更はないとした。中国向けの半導体製造装置は足元堅調で、来年にかけて「それほど大きくは変わってこない」との見方を示した。
同日発表した4―6月期決算では、半導体製造装置の地域別売上高は、中国向けが739億円となり、前四半期の506億円から伸長。政治的な駆け引き次第では装置市場が影響を受ける可能性はあるとしたが「現状では大きな変化はない」(笹川氏)とした。米政府はファーウェイなど中国5社の製品を使う企業との取引を排除する規制を8月に導入するが「(直接的な)影響があるかどうかわからない」とし、米国の規制やルールがはっきりしてきた時点で適切に管理しコンプライアンスを守るとの考えを述べるにとどめた。
2020年4─6月期の連結営業利益は前年同期比73.6%増の738億円だった。DRAMやNANDフラッシュメモリ市場が需給バランス改善で回復基調に転じているほか、ロジック・ファウンドリ系半導体の関連投資が持続。半導体製造装置の売上高は前年同期比53.3%増3037億円と堅調に推移した。一方、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の売上高は同39.6%減の110億円だった。コロナの影響で装置の設置に期ずれが生じた。テレビ用大型液晶パネル向けの投資が継続し、モバイル用中小型有機ELパネル向けの投資は今後回復基調に転じると見込むとした。
連結売上高は前年同期比45.5%増の3148億円で、営業利益率は1.8%ポイント上昇の23.5%だった。コロナ影響で販管費の一部が7―9月期にずれ込み、4―6月期は低く抑えられたことが寄与しているという。
2021年3月期の通期の営業利益予想は前期比15.9%増の2750億円で据え置いた。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均は2671億円。IoT(モノのインターネット)や次世代通信網「5G」、人工知能(AI)などの普及に加え、テレワークやオンライン授業、動画配信サービスの利用増もあって、半導体製造装置市場は拡大基調だとしている。
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(平田紀之) OLJPTEC Reuters Japan Online Report Technology News 20200728T064459+0000