[北京/香港 31日 ロイター] - 中国のIT大手、北京字節跳動科技(バイトダンス)は国内事業の株式を香港か上海市場に上場することを検討している。関係筋がロイターに明らかにした。傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡り米中の緊張が高まっていることが背景にある。
関係者によれば、バイトダンスは上場先として香港市場のほうが望ましいと考えている。また ティックトックを含む海外事業を欧州か米国で株式を公開することも検討しているという。
バイトダンスは当初、全体をニューヨークか香港市場に上場したい意向を示していた。しかし関係筋によると、同社は中国事業の上場について香港取引所や中国の証券監督当局と協議している。
ロイターはこれまでに中国事業がバイトダンスの収入の大半を占めると報じた。関係筋は2019年の売上高は160億ドル前後だったと述べた。
2人の関係者によると、中国事業を香港取引所か上海証券取引所の「科創板(スター・マーケット)」に上場した場合、時価総額は1000億ドル以上になる可能性がある。
ただ、上場に関する検討は初期段階であり、今後変更することもあるとしている。
上場計画はティックトック買収の動きによって複雑さを増す可能性がある。ロイターは関係筋の話として、バイトダンスに出資しているセコイア・キャピタルなど一部投資家がティックトックへの買収提案を行っており、ティックトックの価値を約500億ドルと評価していると報じた。[nL3N2F1011]
バイトダンスはコメントを控えた。香港取引所は個別の企業についてはコメントしないと述べた。中国証券監督管理委員会(CSRC)は取材の要請に回答していない。
ある関係者はバイトダンスの上場計画はティックトックの将来に直接影響しない可能性があるとの見方を示した。
ロイターは猟豹移動(チーター・モバイル)が今年、バイトダンスの少数株を売却した際、時価総額を最大1400億ドルと見積もっていたと報じている。
関係筋によると、2019年のバイトダンスの利益は約29億ドルだった。20年の売上高目標は約2000億元(286億2000万ドル)、ティックトックの20年の売上高は10億ドルを見込む。