[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米政権は、 ソーシャルメディア企業を標的にした大統領令を巡り、権利擁護団体が提起した訴訟を無効にするよう裁判所に申し立てを行った。ロイターが申立書の写しを入手した。
政権は訴訟について、大統領令を「著しく誤解」していると主張している。
トランプ大統領は5月、ソーシャルメディア企業などのオンラインプラットフォームを保護する法律の効力を弱める大統領令に署名。これを受け、ワシントンを拠点とするIT(情報技術)業界の権利擁護団体、センター・フォー・デモクラシー・アンド・テクノロジー(CDT)が6月に訴訟を起こした。
CDTは大統領令について、米憲法修正第1条で保障されたソーシャルメディア企業の権利を侵害しており、将来のオンライン上の言論を抑制し、インターネットを通じて米国民が自由に発言できる機会を損ねると主張している。
一方、政権側は大統領令は政府機関に向けたもので、企業に対応を求めるものではないと反論。申立書は「大統領令は民間当事者に何の義務も課していない」とし、「ソーシャルメディア大手のオンラインプラットフォームが政治的なバイアスを持ってコンテンツを管理しているという疑惑について、さまざまな機関の調査につながる可能性のある対応を、政権当局者に指示するものだ」としている。
CDTの法務顧問、アベリー・ガーディナー氏は12日、「大統領令が深刻な憲法上のゆがみを生じさせていることを示すであろう訴訟の本案に対応しようとせず、法的手段に出ている」と述べ、政権の動きを批判した。
ホワイトハウスのディア報道官は、ロイターに対し「訴訟の主張に法的根拠がない」ため、今回の申し立てに至ったと説明。「この左派のロビー団体は行政措置がどう機能するか理解していないとみられ、司法制度についても理解していない可能性がある」と述べた。
司法省からのコメントは得られていない。
ツイッターは、大統領令について「歴史的な法律に対する反動的かつ政治的なアプローチだ」と批判。CDTの訴訟に関してはコメントを控えた。グーグル、フェイスブックからのコメントは得られていない。