[ニューデリー 26日 ロイター] - インドで2000社を超えるオンライン販売業者の団体が、米電子商取引大手アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)に対して独占禁止法を巡る訴えを起こした。アマゾンが優遇する一部の販売業者が割引で商品を提供することで、独立系の販売業者が廃業に追い込まれていると主張している。団体が裁判所に提出した文書をロイターが入手した。
アマゾンはインドに65億ドルを投資してきたが、同国の複雑な規制環境に苦戦している。
インドの独占禁止法当局であるインド競争委員会(CCI)は1月、競争法違反や割引行為を巡りアマゾンと、インド競合で米ウォルマート (N:WMT)傘下のフリップカートに対する調査を指示した。
今回は、全インドオンライン販売業者協会がアマゾンの不公平な商慣習を巡り提訴。協会の加盟社はアマゾンやフリップカートで商品を売っている。
協会によると、アマゾンのインド事業の卸売部門が製造業者から商品を大量に買い、クラウドテールなどの販売業者に損失を出す価格で販売。こうした販売業者は購入した商品をアマゾンで大幅な割引額で売るという。
協会は8月10日にCCIに提出した書類で「こうした反競争的行為により独立系の販売業者が市場から追い出され、競争がなくなる事態が起きている」と主張した。
アマゾンはコメントの要請に応じなかった。これまでに、インドの全ての法律に従っており、全ての業者を公平に扱っていると発言している。
裁判所での訴訟と異なり、CCIが審理する案件は公表されない。向こう数週間でCCIは案件を審理し、調査を拡大するか棄却するかを決める。
インドの規制の下、販売業者は手数料を払ってアマゾンで商品を販売する。インドは昨年、大幅な割り引きを阻止するために規制を強化したが、一部の小規模な販売業者はアマゾンが依然として複雑な経営構造を利用して規制を回避しているという。アマゾンはこうした行為を否定している。
700ページを超える今回の訴訟文書には、アマゾンのウェブサイトで商品が閲覧できる画面の写真が含まれている。食品や洗剤を含む一部の商品は表示されている小売価格と比べ8%から45%割り引きされている。
協会はまた、アマゾンが一部の販売業者に対して手数料を低くしており、独立系の販売業者が競争力を失っていると指摘。アマゾンのインド事業の販売業者大手、クラウドテールは電子製品の販売に6.3%の手数料を払うのに比べ、独立系の販売業者は約28.1%払っていると主張した。
アマゾンはこれまで、インドで65万社の販売業者が商品を売る場を提供しているとし、価格に関する判断は各社が独自で行っていると説明している。