[ワシントン 16日 ロイター] - 米司法省は16日、米政府が来週、中国の騰訊控股(テンセント) (HK:0700)が運営する対話アプリ「微信(ウィーチャット)」に関する取引を禁止することになっても、アプリの利用者が民事・刑事罰を科されることはないとの見解を示した。
トランプ大統領は8月、テンセントと短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を傘下に置く中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)との取引を45日以内に禁止する大統領令に署名。ウィーチャットとTikTokは国家安全保障に対する「重大な脅威」とした。
大統領令に先立ち、トランプ政権は「信頼できない」中国製アプリを米国のデジタル網から排除する取り組みを強化すると表明していた。
ロス商務長官は20日までにウィーチャットに関し、どの取引が禁止されるのかを明確にした規制を公表する見通し。
ウィーチャットの利用者らはこれまでに、トランプ政権が米国内の個人や企業、団体による同アプリの利用を禁止するのを阻止するため、サンフランシスコの連邦地裁に仮差し止めを申し立てた。17日に審理が予定されている。
司法省は16日付の提出資料で、ロス長官は、個人的あるいは事業に関する情報を伝えるためだけにウィーチャットをダウンロードしたり利用する個人や団体を標的にするつもりはないと説明。民事・刑事罰に問われることはないとした。
同時に、「このような対話を目的とする同アプリの利用は、他の取引を標的とする措置によって直接的あるいは間接的に損なわれる可能性がある」とした。
原告側は申し立てで、大統領令は「米国の数百万人のウィーチャット利用者に、世界の中国語を話す人たちの間で最も人気が高いソーシャルメディアの利用」を禁じていると非難。
調査会社センサータワーによると、米国でウィーチャットは1900万回ダウンロードされている。中国ではサービスやゲーム、決済などあらゆる場面で使われている。
トランプ氏が署名した大統領令はウィーチャットについて、「利用者から自動的に膨大な情報を収集している。このデータ収集が中国共産党による米国民の個人および機密情報の入手を可能にする恐れがある」とした。