[ワシントン 25日 ロイター] - 中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」のダウンロードを禁じる米政府の措置を裁判所が一時的に差し止めた問題で、米司法省は25日、上訴手続きを進める間、差し止め命令を保留するよう求めた。
ウィーチャットのダウンロード禁止措置やウィーチャットを通じた米国内での取引を禁止する措置は9月20日夜に発効する予定だったが、カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁が19日に一時差し止める命令を出した。
司法省は同地裁への申し立てで、仮差し止め命令は誤りで「政府が国家の安全保障や外交政策への脅威と見なすウィーチャットの自由な利用継続を可能にしている」と主張した。
また新たな米国内向けアプリの開発、新アプリのソースコードを保護するための安全対策の実施、ユーザーデータの保管のための米国のクラウド企業との提携、米国を拠点とした組織による新アプリの管理などの「緩和措置」をテンセントは提案したが、テンセントがウイーチャットを保有し続け、同社に対する米国の懸念に対処していないとした。
司法省はウィーチャットを通じた取引で禁止すべきものを示した商務省の17日付の文書の一部を公開した。
「ウィーチャットのモバイルアプリは米市民の機密性の高い個人情報を収集して送信している。テンセントはこうした情報にアクセス可能で中国とカナダのデータセンターに保存されている」としている。
商務省は地裁判事に対し、差し止め命令の保留申請について10月1日までに判断を下すよう求めた。
ウィーチャットのユーザー団体の弁護士らは「裁判所の差し止め命令から約5日も経過しており、政府の決定に緊急性はない」と表明した。
サンフランシスコの連邦地裁は25日遅く、司法省の申し立てについて10月15日に審理を行う方針を示した。ただ、日程を早める可能性もあるとした。
*審理日程を追加しました 2020-09-25T090148Z_2_LYNXNPEG8O0BH_RTROPTP_1_TENCENT-WECHAT-TRUMP.JPG