[北京/シンガポール/深セン 30日 ロイター] - 中国政府は、米アルファベット (O:GOOGL)傘下のグーグルが基本ソフト(OS)「アンドロイド」の支配的な立場を利用して競争を阻害したとする申し立てについて、独占禁止法の調査を開始する準備をしている。2人の関係筋が明らかにした。
関係筋によると、昨年に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]が申し立て、中国の独占禁止当局である国家市場監督管理総局(SAMR)が国務院(内閣に相当)の独占禁止委員会に訴えた。
正式な調査に着手するかどうかの判断は早ければ10月にも下される見通しで、結果次第で米中関係に影響を及ぼす可能性があると関係筋は話した。
トランプ米大統領は安全保障を理由に、中国のテクノロジー企業に打撃を与える一連の措置を講じてきた。その一環でファーウェイは米国の禁輸対象ブラックリストに入った。
中国は独占禁止法を大幅に改定している。修正案には、罰金上限の大幅引き上げや、企業が市場を支配していると判断する基準を拡大することなどを盛り込んだ。
2人目の関係筋によると、調査を開始した場合、市場におけるグーグルの立場がファーウェイなどの中国企業に「非常に大きな被害」を及ぼす可能性があるとの申し立ても調査対象となる。グーグルがアンドロイドを搭載した機器に関して技術サービスを提供できなくなることが、中国企業の信頼感と売り上げに打撃となるという主張だ。
ファーウェイが米国のブラックリストに載ったことでグーグルはアンドロイドを搭載したファーウェイ製携帯電話の新モデルに技術サポートを提供できなくなった。大半のアンドロイドアプリの動作に不可欠な開発者サービスをまとめたグーグルモバイルサービス(GMS)も提供できなくなった。
ファーウェイの2019年売上高は目標を120億ドル下回った。同社幹部は米国の制裁措置が原因としている。グーグルへの依存を断ち切るためファーウェイは今月、自社開発のOS「ハーモニー」を来年以降発売するスマートフォンに搭載する計画を発表した。
1人目の関係筋によると、調査をする場合、中国の規制当局は欧州やインドの前例を参考にする。欧州連合(EU)は2018年に、反競争的行為でグーグルに43億ユーロ(51億ドル)の罰金を科した。インド当局は、グーグルが市場の地位を利用して不当に自社の決済アプリを促しているという疑惑を調査している。