[ワシントン 9日 ロイター] - 米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は9日、米政府に対し、中国の電子商取引大手アリババ・グループ (HK:9988)傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開(IPO)を延期する選択肢を検討すべきだと主張した。
中国企業を調査するようトランプ政権に訴えてきた同議員は、ロイターへの文書の中で、「中国共産党は、香港の自由と自治をあからさまに抑圧している。ウォール街がアント・グループの香港・上海IPOを取りまとめて、中国共産党に報いるなど言語道断だ」と表明。「米政権はアント・グループのIPOを延期できる選択肢がないか真剣に検討すべきだ」とした。
中国最大のスマートフォン決済「アリペイ(支付宝)」を運営するアント・グループは、香港と上海両市場への上場を計画。香港のIPOでは、中国国際金融 (HK:3908)、シティグループ (N:C)、JPモルガン (N:JPM)、モルガン・スタンレー (N:MS)がスポンサーを務めている。共同グローバルコーディネーターはクレディ・スイス (S:CSGN)。ゴールドマン・サックス (N:GS)もIPOに関与している。
アントのコメントは得られていない。
中国企業が米国外で行うIPOに対し、米政府が延期できるかどうかは現時点で不明。米国の対中強硬派の間で、今月の上場前に同社に制裁を加えるようトランプ政権に求める声が高まっていることが浮き彫りとなった。
アントはIPOで最大300億ドルを調達する予定。米国では、米国の投資家が詐欺に巻き込まれるのではないかとの懸念や、中国政府が米国民の個人的な金融情報にアクセスするのではないかとの懸念が浮上している。
共和党のジム・バンクス下院議員は、アントに制裁を科すべきかどうかとの質問に文書で回答。「デジタル決済システムが、国家安全保障上の脅威になることは事実だ。トランプ政権は米国人の個人的な金融情報を保護するため行動すべきだ」とした。