[15日 ロイター] - 米ツイッター (N:TWTR)は15日、トランプ大統領の選対本部のアカウントのツイート機能を一時制限した。民主党のバイデン大統領候補の息子ハンター氏を巡る動画投稿が、同社の個人情報投稿に関するポリシーに違反したと説明した。
トランプ氏の選対が14日投稿した動画は、ハンター氏とウクライナのエネルギー企業とのビジネスを巡る疑惑に関する内容で、バイデン大統領候補が同社幹部と面会していたと指摘する米紙ニューヨーク・ポストの記事に言及。さらに「ジョー・バイデン氏はうそつきで、長年にわたり米経済を崩壊させてきた」というコメントが付けられていた。
バイデン氏の選挙陣営の広報担当者は文書で、共和党が多数派を占める上院委員会は、ウクライナに関してバイデン氏の不正行為はないと既に結論付けていると指摘。バイデン氏がウクライナのエネルギー企業幹部と面会した事実もないとした。
ツイッターの広報担当者は先に、トランプ選対(@TeamTrump)だけでなく、マクナニー米大統領報道官(@kayleighmcenany)、ニューヨーク・ポスト(@nypost)のアカウントのツイートを一時制限したと明らかにしていた。「ハッキングされた素材の配布」や個人情報の投稿に関する同社のポリシーに違反しているためで、問題の投稿が削除されれば、再びツイートできるとしていた。
同社のポリシー責任者、ビジャヤ・ガッデ氏はこの日遅く、先のツイート制限に関するフィードバックを踏まえ、ハッキングを通して入手した情報の掲載に関するポリシーの変更を決めたと明らかにした。
「今後はハッキングで入手したコンテンツはハッカーやハッカーの協力者が直接共有しようとしているものでない限り、削除はしない」とツイート。ツイッター上のリンク共有を阻止する代わりに、背景を説明するラベルをつける」とした。
一方で、この変更にかかわらずニューヨーク・ポストの記事の拡散を阻止するための制限は続けるとした。
トランプ選対は、この日の午後に投稿を再開し「ツイッターがあなた方に見てほしくない動画を再投稿する」とツイート。ツイッターの広報担当者は、動画に変更が加えられ、もはやポリシー違反はないため制限措置は取らないと説明した。
マクナニー大統領報道官もツイートを再開。同記事に関する投稿を削除したことで再びツイートできるようになったという。
ツイッターの措置について質問されたトランプ大統領は「いずれ大規模な訴訟に発展するだろう」と応じた。
ツイッターとフェイスブック (O:FB)は前日、ニューヨーク・ポストの記事が報じられてから数時間後に拡散を制限する措置を講じた。
ツイッターはこの記事へのリンクをユーザーが掲載することを禁じ、フェイスブックはニュースフィードなどにこの記事が表示される頻度を減らした。
しかし、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は14日のツイートで「ニューヨーク・ポストの記事への当社の措置に関する情報発信は、優れたものではなかった。ツイートでURLを共有するのを阻止したり、DM(ダイレクトメッセージ)に阻止する理由が全く入っていないのは受け入れ難い」と不快感を示した。
ニューヨーク・ポストのアカウントは1日あまり新しい投稿がなく、引き続き制限されている可能性を示している。同紙の広報担当者は、同紙の報道を参照するよう促した以外は、コメントを控えた。
<共和党議員が反発>
ツイッターの措置に対し、共和党の議員からは批判の声が上がった。上院共和党トップのマコネル院内総務は新聞記事に関する制限は「非難に値する」とし、米国に「言論を取り締まる警察」は存在すべきではないと強調した。
上院司法委員会のグラム委員長らはドーシーCEOに証言を求める考えを表明。今月23日の議会証言に向け20日に召喚状送付について採決する。