[20日 ロイター] - 米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI) (O:TXN)が発表した第3・四半期決算は、売上高が減少予想に反して約2年ぶりに増加した。第4・四半期の売上高見通しも市場予想を上回った。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に在宅勤務が広がる中、電子製品向け半導体の需要増加が寄与した。
TIはスマートフォンから自動車向けまでさまざまな半導体を手掛け、他の半導体メーカーに先行して決算を発表することが多いため、半導体と関連セクターの健全性を見極める手掛かりとして注目されている。
同社によると、家電製品向け半導体の販売が好調だったほか、自動車向けの需要も大きく回復し、売上高に寄与した。北米と欧州での自動車組み立て工場の操業再開を受け、自動車向けの需要は前期比75%増加した。
TIの株価は引け後の時間外取引で2%近く上昇。
第3・四半期の売上高は38億2000万ドルで、前年同期の37億7000万ドルから1%増加。リフィニティブのIBESデータによると、34億5000万ドルへの減少が予想されていた。
純利益は13億5000万ドル(1株当たり1.45ドル)で、前年同期の14億3000万ドル(同1.49ドル)から減少した。
1株利益の市場予想平均は1.28ドルだった。
第4・四半期の売上高見通しは34億1000万─36億9000万ドル。市場予想の33億4000万ドルを上回った。
TIのIR(投資家情報)責任者はアナリスト向けの会見で「目先の需要については見通しやすくなっているが、(コロナの)世界的流行の経済への幅広い影響は数年続く可能性があるため、当社は慎重な見方を維持する」と語った。
また、米政府による中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)向けの輸出規制が9月に強化された影響についても説明。同社の第3・四半期売上高にファーウェイが占める割合は約2%だったとした上で、「当社は米国の輸出規制ルールに従い、9月14日にファーウェイへの出荷を止めた。第4・四半期の売上高見通しに同社からの売り上げは含まれていない」と答えた。
米政府が2019年に導入した輸出規制では、TIなど米企業が米国外の工場からファーウェイに一部の半導体製品を供給することを認めてきたが、今年9月の規制強化で、ファーウェイへの半導体供給は事実上、全面的に禁止された。
*内容を追加しました。