[東京 18日 ロイター] - 東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO) は18日、同社に対して筆頭株主が臨時株主総会の開催を請求していることについて「なるべく早く対応方針を決めたい」と述べた。
ロイターのインタビューで語った。
東芝に対しては、シンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが前日、臨時株主総会の招集を請求したと発表。 車谷氏は「(要請が)届いたばかりなので、これから内容を精査する段階。何も決めていない」と述べた。
エフィッシモが臨時総会の開催を請求するのは、今年7月の定時株主総会が公正に運営されたかどうかを調査する弁護士3人を選任するためとしている。エフィッシモは東芝株9.91%(11月末)を保有する筆頭株主。一部の議決権行使が無効になったことなどを問題視している。
車谷社長は、株主とは「コミュニケーションに最大限の力を入れている」と主張。「不満であれば改善する。満足いただけるまで対応する」と述べた。
<業績は「上振れて推移」>
2021年3月期の業績は、想定に比べて上振れて推移しているとした。新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中、固定費削減が奏功しているとの認識を示した。
東芝は21年3月期の営業利益予想を前年比15.7%減の1100億円としている。一時的な要因などを除くコア営業利益の予想は前年比36%増の2200億円。車谷氏は、「予定よりは上に振れて推移している」と足元を説明。固定費削減が想定より進んでいるのが一番大きなポイントだとし、「企業体質が強化されている」と強調した。
車谷社長は、企業経営にとっては地道な生産・調達効率の改善がもっとも大事と指摘。「極限まで研ぎ澄まして、その上に戦略を載せていくのが一番正しいやり方」だと強調した。無駄なコストを落とした上に、安定した事業ポートフォリオを築けば「(利益率は)相当、高いところに行けるはず」と述べた。
企業のM&A(合併・買収)は、インフラサービスに関連する他社のノンコアビジネスなどを「コツコツ集めていく考え方が基本」とした。株主価値が高まるとの判断が重要で、案件ごとに検討するとし「これぐらい(の金額の枠組みで)やらないといけないという議論はまったくない」とした。想定されるのは「国内で比較的小規模」な案件になりそうだという。
(平田紀之、山崎牧子 編集:久保信博)