[ベルン 20日 ロイター] - スイスで20日に実施された全州議会(上院)と国民議会(下院)の総選挙は、極右の国民党が第1党を維持した一方、緑の党が躍進し、連邦会議(内閣に相当)に初めて閣僚を送れる可能性が出てきた。
選挙では気候変動に対する有権者の懸念が強く、各種結果予測に基づくと、主要政党がそろって緑の党に議席を奪われた。過去に国民党の追い風だった移民や欧州連合(EU)との関係は主な争点とならず、同党も議席を減らした。
緑の党のセリーヌ・バラ副党首は地元ラジオで「緑の波ではなく、津波、ハリケーンだ」と党勢の急拡大に胸を張った。
背景には内陸性気候のスイスの気温が世界平均の2倍のペースで上昇し、気候変動の悪影響にさらされやすくなっているという事情がある。心理学を専攻している25歳のある女子学生は「気候変動がわれわれの世代と時代の全員にとって最も重要なことはかなりはっきりしており、時間の余裕は一切ない」と語った。
公共放送SRFの予測によると、下院では国民党の得票率が2015年の前回選挙から3.6%ポイント下がって25.8%となる見込み。緑の党は5.9%ポイント上昇の13.0%で、より中道的な自由緑の党の予想得票率は7.9%。この2つの環境政党が政策の違いを克服し、提携すれば合計得票率は21%近くに達し、下院200議席のうち26議席を得て閣僚ポスト1つを手にする資格が生じる。
他の主要政党の得票率は、社会民主党が16.6%、自由民主党が15.3%と緑の党を上回りそうだ。ただ、閣僚1人を擁するキリスト教民主党は、緑の党以下の得票率にとどまる見通し。
連邦会議は1959年以降ずっと、国民党、社民党、自民党、キリスト教民主党の閣僚で構成されてきただけに、緑の党が閣僚を出すことになれば、政治的な影響は非常に大きい。
上下両院は12月に連邦会議の閣僚を選出する予定だ。