[シドニー 29日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は29日、世界的に金利を「より正常な」水準に戻すことは、投資環境の改善を必要とすることから、中銀が対応可能な範囲を超えるとの見解を示した。
ロウ総裁はキャンベラで演説し、投資環境の改善には、地政学的リスクの軽減と、将来的な経済成長に対する企業の信頼感を高める構造改革の推進という2つの要素があると指摘。「いずれの要素も大部分は中銀のコントロールの範囲外だ。政府とビジネスが対応する問題だ」とし、「中銀はこうした状況の中で金利を設定している」と述べた。
豪中銀は今年に入り政策金利を3回引き下げ、過去最低の0.75%としている。
ロウ総裁は29日、必要であれば理事会は追加緩和する用意があるとあらためて表明。その上で「オーストラリアでマイナス金利が導入される可能性は極めて低い」と語った。最近の利下げが雇用と全体的な所得の伸びを支え、豪経済を支援しているとの考えを示した。
29日に公表されたガーディアン紙の世論調査では、財政黒字回復の延期と国内景気の刺激を優先させることが重要だとの回答が全体の半分以上を占めた。
ロウ総裁は「世界的にそうであるように、投資環境の改善に注力する必要がある。そうすれば新たな生産的な資産の構築に向けて投資家が低い資金調達コストを利用できる」と指摘。「これを背景に金利がより正常な水準に戻るだけでなく、全体的な繁栄にもつながる」と述べた。
また、豪中銀が金利決定を行う際、高い貯蓄率、低調な事業投資、他の主要中銀による政策緩和といった世界的な傾向を無視することはできないとし、こうした傾向を考慮に入れなければ不必要な豪ドル高を招く可能性があると説明した。
豪ドルは今年に入り約3%下落。昨年は約10%下落した。