[ワシントン 4日 ロイター] - ウクライナ疑惑を巡りトランプ米大統領の弾劾調査を進める下院委員会が4日公表した証言内容によると、ヨバノビッチ元駐ウクライナ米大使など2人の外交官は、国務省が国内の政治的な目的を実現するために利用されていると指摘した上で、国益を害する行為だと批判した。
下院の外交、情報特別、監視・政府改革の3委員会が非公開証言の内容を公表したのはこれが初めて。下院では弾劾調査を進める決議案が可決されており、3委員会は公開証言を早ければ月内に開始するため、準備を進めている。
5月にトランプ氏に解任されたヨバノビッチ氏は、10月11月に非公開で証言。保守系のメディアやトランプ氏の最側近などから大統領への忠誠心が低いなどと攻撃を受けたと説明。トランプ氏が何カ月も前から自身の辞任を望んでいるとの話をフィリップ・リーカー国務次官補から聞いた時は「ショックを受けた」と述べた。
また、トランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長とトランプ氏の息子、トランプ・ジュニア氏もまた、ソーシャルメディアでヨバノビッチ氏を批判していた。
「大統領の息子が、『役立たずは引き揚げる必要がある』などとの表現で私を批判したことによって、外国における大使として信用を維持するのが難しくなった」と訴えた。
証言内容によると、ヨバノビッチ氏は2018年終盤にウクライナの当局者らに、ジュリアーニ氏がウクライナの元検事総長とやりとりしていると知らされ、ジュリアーニ氏が対ウクライナ政策に関与していることを知った。
また、ソンドランド駐欧州連合(EU)米大使からは、解任を回避するためにツイッターでトランプ氏への支持を表明するよう勧められたという。
これまで証言した複数の関係者は、ウクライナがEU非加盟であるにもかかわらず、トランプ氏の大口献金者であるソンドランド氏が対ウクライナ政策で主要な役割を果たしたと明らかにしている。ソンドランド氏も弾劾調査で証言しており、内容は5日に公表される見通し。
この日は国務長官顧問を務めたマイケル・マッキンリー氏の証言内容も公表された。同氏は、トランプ氏やその政治的盟友による批判に対し、国務省がヨバノビッチ氏を擁護しなかったことを同職を辞任した理由に挙げた。
また、「国内の政治的目的を実現するため、海外の大使を利用しているとみられる動き」への懸念にも触れた。
「これは国境の外での職務の品位を維持する道筋ではない、と私は感じている。海外では超党派の姿勢を打ち出すべき立場にわれわれはある」と強調した。
議員らによると、4日に証言するよう要請していたホワイトハウスや国家安全保障会議(NSC)などの当局者4人は現れなかった。トランプ氏がウクライナ政府に来年の米大統領選の民主党有力候補であるバイデン前副大統領を調査するよう迫った際、同国への支援を見返りとして提示したか否かを判断する上で、4人の証言は重要だとみられていた。