[シアトル 10日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)は、本社を置くワシントン州シアトル市が5日に実施した議会選挙で、企業寄りとみられる候補を推すために政治団体に過去最高額を献金したが、8日夜に判明した結果によると、支援した候補の大半が落選となり、巨額献金戦略が裏目に出た格好となった。
急進派の議員が多数派を占める議会のパワーバランスは変わらなかったため、昨年撤回された大企業への課税案が再び検討される可能性が高まった。
アマゾンはシアトル商工会議所が運営する、企業などから無制限に政治献金を集金できる特別政治活動委員会(スーパーPAC)に150万ドルを献金。4年前の2万5000ドルから急増し、同スーパーPACが今回集めた約270万ドルの半分以上を占めた。
労働組合による献金額は100万ドル強だった。
シアトル市議会選での前例ない巨額献金は全米で話題となり、来年の米大統領選に向けて民主党候補指名を争うエリザベス・ウォーレン上院議員などはアマゾンは市議会を買収しようとしていると批判した。
ただ、8日夜に判明した開票率97%時点での選挙結果は、急進派の候補が、争われた7議席中5議席を獲得。そのうちの1人は再選されたクシャマ・サワント議員で、自らを社会主義者と呼び、市議会でアマゾン批判の急先鋒に立ってきた。
一方、アマゾンなどの企業がスーパーPACを通じて推した7人の候補のうち、勝利したのは2人にとどまった。
サワント議員は、市議会が2018年5月に全会一致で可決した市内の大企業に新たに課税する法案で主導的役割を果たした。アマゾンは新たな課税案に反対し、シアトル市内での新オフィス建設計画を凍結すると警告していた。
ただ、アマゾンなどの企業が新税に関する住民投票を求める署名活動を展開し、多数の署名が集まったことを受け、市議会は法案可決の4週間後に新税の撤回を決めた。
サワント議員は9日、今回の議会選は新税に関する住民投票となったとし、改選後の議会で課税策を推進する考えを表明した。