[ジュネーブ 18日 ロイター] - 米国は18日、世界貿易機関(WTO)の紛争処理機能が停止しているにもかかわらず、鉄鋼製品を巡るインドとの貿易紛争でWTOに申し立てを行った。
WTOの最高裁判所に相当する上級委員会は先週、紛争処理機能が停止した。上級委の2人のメンバーの任期が満了し、残り1人となり、国どうしの通商紛争の審理が事実上できなくなった。問題の背景には、米国が新たな委員の選出を拒否し続けていることがある。
ジュネーブの通商当局者によると、米国はインドとの貿易紛争でWTOに申し立てを行ったことを加盟国に伝えた。米国はどのように問題を解決するかをインドと協議する予定で、WTOの紛争処理手続きに代わる方法を模索するという。
18日に行われたWTOの会議に参加したある関係者は、米国が委員再任を拒否し続けて上級委が機能停止に陥るなか、インドとの貿易紛争を米国がWTOに申し立てていることは「滑稽だ」とコメントした。
米国とインドの対立は、インド製の炭素熱延鋼板に対する米国の関税から生じている。インドは米国の関税が世界の通商ルールに違反していると主張。この件に関するWTOの決定にも米国は従っていないとしている。
一方、紛争処理小委員会(パネル)は先月、この問題でインド側の主張の大部分を退けた。
18日の会議では、164の加盟国のうち119カ国が上級委の6人の欠員を埋めることが重要だとの考えを示したが、米国が反対した。
上級委の機能停止を受けてEUは、カナダおよびノルウェーとの間の問題について、上級委の元メンバーに仲裁してもらう形で合意している。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20191219T063308+0000