[ワシントン 22日 ロイター] - 米上院で開かれる見通しのトランプ大統領の弾劾裁判について、政権高官は22日、証人招致は省くという上院共和党指導部の考えに同調する姿勢を示唆した。一方、民主党幹部は新たに公表された対ウクライナ支援の凍結に関する電子メールを踏まえ、証言の必要性を訴えた。
上院民主党トップのシューマー院内総務は記者団に、前日に公表された電子メールによって証人を招致する必要性が強調されたと述べた。
電子メールは裁判所の命令で非営利報道団体のセンター・フォー・パブリック・インテグリティが入手したもので、行政管理予算局(OMB)の高官、マイケル・ダフィー氏が、7月25日のトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領の電話会談終了の91分後に国防総省に対し、ウクライナ支援を凍結するよう指示したことが明らかになった。
下院は18日の本会議でトランプ大統領が政敵を調査するようウクライナに圧力を掛けた「ウクライナ疑惑」を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。
ソンドランド駐欧州連合(EU)代表部大使は下院委員会による弾劾調査で前月、ウクライナ支援の凍結については7月18日に知らされたと証言し、「凍結の厳密な理由について明確な回答は得られなかった」と述べている。
ウクライナ支援と首脳による電話会談は弾劾調査の焦点となった。また、ダフィー氏はシューマー氏が弾劾裁判で証人として呼ぶよう求めている現旧の政権高官4人の1人。
シューマー氏は「ダフィー氏の証言が必要な理由を問う声があるならば、まさに(電子メール)の情報が理由だ」と強調した。
トランプ氏はこれまで、自身を擁護できる証人を裁判に呼ぶことに関心を示しているが、シューマー上院院内総務など指導部の決定に従う意向も明らかにしている。
ペンス副大統領の首席補佐官を務めるマーク・ショート氏は22日にテレビ番組に出演し、裁判の簡略化を目指す上院共和党トップのマコネル院内総務とホワイトハウスの考えは同じであることを示唆。
NBCの番組で「米国民はこのでっち上げにうんざりしている」と述べ、米政権は裁判の長期化そのものを心配しているのではなく、米国民のために仕事を早く再開したいだけだと述べた。
米議会は20日、年明け1月に開始される見通しのトランプ大統領弾劾裁判の手続きを巡り与野党が合意をみないまま、クリスマス休暇の休会に入った。
ショート氏はFOXニュースの番組で「周到な訴追ならば追加証言は必要にならないだろう」と語気を強めた。
民主党のダグ・ジョーンズ上院議員はABCの番組で「米国民と上院は完全で公正な裁判を必要としている。つまり証言や資料が必要だということだ」と述べた。