[バグダッド 26日 ロイター] - イラクのサレハ大統領は26日、親イラン派の国会勢力が推す人物を首相に指名することを拒否し、大統領を辞任する用意があると表明した。
イラクでは10月以降、汚職撲滅や生活苦などを訴える反政府デモが続き、アブドルマハディ首相が11月に辞任を表明。治安部隊との衝突でこれまでに450人以上が死亡している。
イランの支援を受けるシーア派民兵組織を率いるハディ・アミリ氏の政党連合は、バスラ県のエイダニ知事を新首相候補として推した。
だがサレハ大統領は26日の声明で、デモ参加者は独立系の首相指名を求めており、エイダニ氏を指名してもデモ収束にはつながらないと指摘。憲法上、推薦された首相候補を拒否する権利が大統領には認められていないとして、辞任する用意があると表明した。
サレハ氏は「流血を終わらせ、平和を維持したいという願いから、エイダニ氏を指名することを拒否する」としたうえで、「したがって、大統領を辞任する意向を国会に提示する」と言明、国会の判断にゆだねる考えを示した。
サレハ氏が辞任すれば、国会がまず大統領の後任を選び、そのうえで新大統領が首相後任を指名する必要がある。
関係筋によると、サレハ氏はテレビ演説を予定している。
政治アナリストのアハメド・ユーニス氏は「大統領は親イラン政党と国民の板挟みになったが、国民の側に付いた」と述べた。
イラク国会は24日、デモ隊の主な要求の一つに応え、選挙法の改正案を承認した。
デモ参加者はこのほか、多くの国民が困窮する一方で支配者層は私腹を肥やし、イランをはじめとする外国勢力の利益のために動いていると非難。こうした支配者層の一掃や独立系の首相指名を要求している。