[ジュネーブ 20日 ロイター] - 国際労働機関(ILO)は20日、世界の雇用情勢に関する年次報告書を発表し、世界的な金融危機以降、9年にわたり低下し続けた失業率は、ほぼ横ばいとなっていると明らかにした。
ILOによると、2019年の世界全体の失業者は推計1億8800万人で、失業率は5.4%と前年から変わらずだった。20年も横ばいが見込まれ、21年には5.5%に上昇する見通し。
ILOは「2009年から2018年までの失業率の緩やかな低下は、終りを迎えているようだ」とし、製造業を中心に世界経済は減速していると指摘した。
多くの人々にとって、仕事を通じてより良い生活を築いたり貧困から抜け出すことは一層困難になっており、ILOのガイ・ライダー事務局長はこうした状況について、社会的つながりに極めて根本的かつ憂慮すべき影響を与える可能性があり、非常に懸念すべきことだ、と指摘した。
さらに「仕事に関する不平等や排除の問題は根強く、何百万もの人々がまともな仕事や、より良い将来を手にすることができないでいる」と説明した。
失業者だけでなく、希望するだけの労働時間が与えられていない人、労働市場へのアクセスが無い人を含め、約4億7000万人が満足な仕事に就けていない状態にある。
また、15─24歳で失業中、もしくは、教育・職業訓練を受けていない人は全体の22%に達しており、若年層の失業問題が深刻となっている。
女性の労働参加率は47%にとどまり、男性の労働参加率を27%ポイント下回っている。
一方、世界全体で働く貧困層(ワーキング・プア)は減少している。ただ、サハラ以南のアフリカなど低所得国では、わずかな状況改善しかみられない。