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英とEU、「最低限の協定」でも交渉は複雑 日程厳しく=外交筋

発行済 2020-01-24 16:05
更新済 2020-01-24 16:08
英とEU、「最低限の協定」でも交渉は複雑 日程厳しく=外交筋

[ブリュッセル 23日 ロイター] - 1月末に欧州連合(EU)を離脱する英国は、EUと将来の関係について協議し、新たな協定の締結を目指す。欧州の外交筋の間では、「最低限の協定」でさえも複雑な交渉を要するうえ、交渉時間がほどんどなく、結局は年末に「合意なき離脱」と同じ状況に直面する可能性も排除できないとみられている。

「最低限の協定」にも、まずは新たな自由貿易協定(FTA)が含まれなければならない。

EU離脱後、直ちに移行期間と呼ばれる激変緩和措置が今年12月末まで適用される。これにより英国とEUの通商関係は離脱前の状態が維持され、急激な環境の変化は回避される。この間に、英国とEUは新たなFTAの締結を目指す。

ジョンソン英首相は、移行期間の延長は行わないという強気の姿勢を崩していない。協定案の翻訳作業や批准手続きなどにかかる時間を踏まえると、10月半ばまでには合意を成立させる必要があり、スケジュールは相当厳しい。

ある外交官は23日、今後数カ月、EUと英国の交渉はほとんど進まないだろうとの見方を示し、「EUでは通常、本当の危機に陥らないと何も動き出さない」と話した。

協定は航空、輸送、漁業などの分野をカバーする必要があるが、とりわけ漁業に関しては、離脱後にEUの漁船が英国の領海で操業できなくなるため、英国が交渉で優位に立つ可能性があるとみられている。

短期間のうちにまとめられるのは「最低限の協定」にとどまるため、その他の項目は後で交渉し、協定に加えればいいとの考えを複数の外交筋が示している。

あらゆる分野について100以上の合意を盛り込んだスイスとの協定の二の舞は避けたいというのがEUの本音だ。交渉に関与しているEUの外交官の1人は、2020年の末までに1つの条約を締結し、あとから追加の条約を付け加えられるような柔軟性を持たせるという考え方もあると語った。

EUは、離脱した英国が労働基準や環境基準を引き下げたり、あるいは一部の産業に補助金を与えたりすることでEUの競争力が低下することを懸念している。

こうした事態を避けるためEUは、英国と結ぶ条約に労働基準や環境基準などを後退させないことを確約する条項を加えるとともに、EUの基準が変更された場合に英国のルールの再調整を検討する共同委員会を立ち上げたいと考えているという。

あるEUの当局者は「英国のルールがEUのものと調和していればいるほど、英国はEUの単一市場にアクセスしやすくなる」と語った。

英国が労働基準や環境基準を引き下げたり、減税したりするようなことがあれば、EUは関税を発動することで英国がEUの単一市場に容易にアクセスできないようにすればいいと外交筋は指摘している。

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