[28日 ロイター] - 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、これまでに中国で106人が死亡、感染者は中国を中心に世界全体で4520人以上に達している。
新型コロナウイルスはその毒性や人から人への感染力など詳細が判明していない。中国の当局者によると、新型ウイルスの潜伏期間は1─14日で、潜伏期間に感染する可能性がある。
新型コロナウイルスについてこれまでに分かっていることは以下の通り。
*当局の発表によると、1月27日の時点で中国国内での死者は106人で、このうち湖北省が100人。国内の感染者数は4515人。湖北省で確認された感染者は2714人で、26日時点の1423人から増加している。
*中国本土以外では、タイと香港でぞれぞれ8人の感染を確認。米国、オーストラリア、台湾、シンガポール、マカオがそれぞれ5人。日本、韓国、マレーシアが4人。フランスが3人。ベトナムとカナダが2人。ドイツ、スリランカ、ネパール、カンボジアが1人。
*中国本土以外では死亡は報告されていない。
*これまで知られていなかったこの新型ウイルスは、昨年末に武漢市の海鮮市場で違法に取引されていた野生動物から発生したと推測されている。
*李克強首相は27日、武漢市を訪問し医療関係者を激励した。
*世界保健機関(WHO)は23日、新型肺炎の感染は中国では緊急事態だとしながらも、「国際的な公衆衛生上の緊急事態と判断するには時期尚早」と判断。
*中国は感染拡大の防止策を矢継ぎ早に打ち出している。武漢市は市内の公共交通機関をすべて閉鎖し、同市から出発する航空便も運航を停止している。
*感染拡大防止策として、中国は国内に続き、27日から海外への団体旅行も禁止した。
*鉄鋼業の集積地である河北省唐山は、市内のすべての公共交通機関の運行停止を発表。
*北京公交集団は、河北省に向かうバスサービスの大半を28日から停止することを明らかにした。
*チベット自治区は27日から、すべての観光地を一時的に閉鎖した。
*米政府は27日、中国への渡航を自粛するよう勧告、カナダも湖北省訪問を避けるよう国民に呼び掛けた。
*28日のアジア株式市場は、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、下落。中国政府の感染対策強化が世界経済の重しになるとの懸念が浮上している。
*韓国政府は、新型肺炎の拡大阻止に向けて全力で臨むと表明。ボラティリティーが高まった場合は金融市場の安定化に動くと強調した。
*フランス、イタリア、日本、オーストラリア、韓国および米国は武漢市にいる自国民を帰国させる方針。
*専門家の間では、新型コロナウイルスは2002━2003年に感染が拡大して800人近くが死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2012年以降に700人以上が死亡した中東呼吸器症候群(MERS)ほど毒性は強くないとの見方もある。
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