[台北/ジュネーブ 6日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)が台湾の新型コロナウイルスの感染者数を訂正したことを巡り、米国はWHOが台湾当局と直接対応すべきと求める一方で、中国は米国が「台湾問題をあおっている」と反発し、主張が対立している。
台湾の外交部(外務省)は6日、中国が台湾の新型コロナウイルス感染者について誤った情報を世界保健機関(WHO)に提供していると批判した。
台湾は中国の反対でWHOに加盟できていない。
米国のアンドリュー・ブレンバーグ在ジュネーブ国連大使は「WHOは感染地域として台湾の公衆衛生データを目に見える形で提示し、台湾の公衆衛生当局と直接関与することが不可欠だ」と主張した。
日本の岡庭健ジュネーブ国際機関政府代表部大使も「特定の地域がオブザーバーとしてでさえもWHOに参加できない状況を作り出すことにより、地理的な空白を作るべきではない」とし、米国の主張に賛同する意向を示した。
一方、中国代表は、新型コロナウイルスに関して中国と台湾の間には広範な協力があるとして反発。「中国の中央政府は台湾の同胞たちの健康と幸せを守ることに非常に誠実であると言えると思う。台湾が中国の一部であり、この事実を変えることはできないことを改めて伝えたい」とした。
さらに「中国は関連各国が議長のガイダンスを尊重し、会議の手続き上の規則を厳守するよう要求する。また、いわゆる台湾問題についてあおることをやめ、時間を無駄にしないよう求める」とした。
WHOは4日、台湾の感染者数を13人から10人に訂正した。
台湾外交部の報道官は「中国が誤った情報を提供したことが、間違いの原因だ」と批判。
また報道官は、WHOが台湾の呼称を何度も変更していることに抗議したとも表明。WHOは台湾の呼称を「台湾、中国」「台北直轄市」「台北」「台北と周辺地域」と変更している。
「WHOに聞きたい。台湾の名前を何度変更するつもりなのか。われわれの名称は台湾であり、公式名称は中華民国だ」と述べた。
中国外務省はロイターに対し、WHOに報告した台湾の感染者数は全て台湾政府からのものとした上で、「誤りがあったとすれば、台湾当局が故意に間違った情報を報告している」とした。
WHOは現時点でコメントに応じていない。
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