[ワシントン 12日 ロイター] - 米共和党の議員らが12日、地球温暖化対策として2050年までに1兆本の樹木を植えるとの目標を設定する法案を発表した。石油・ガス開発が米経済にもたらす恩恵を重視する共和党の中でも、米国民の間で地球温暖化対策を求める声が高まっているのを一部の議員が認めていることを示している。
植林法案は6人の下院議員が策定した広範な気候変動対策の一部。今後数週間に、発電所や大気から二酸化炭素(CO2)を捕捉する技術を支援する税額控除措置の拡大、こうした技術を発展させるための研究所の創設、天然ガスや原子力も含めた「クリーンエネルギー」の推進などを柱とする追加の法案が発表されるという。
これらの法案は「技術革新」が軸となっており、CO2の排出に対価を設定したり、排出削減を義務付けることは避けている。
民主党は、気候変動による最悪の影響を避けるためには石油や石炭などの化石燃料から早急に脱却することが必要だと主張している。
共和党のマッカーシー下院院内総務は12日、記者団に対し、共和党の温暖化対策について、一部の民主党議員が提案した「グリーン・ニューディール」などのような「指揮統制型の政策」とは対照的なものだと述べた。マッカーシー院内総務は、技術開発を促進するのに炭素税は必要ないと主張している議員の1人。
一方、環境活動家らは、化石燃料の使用に伴う温暖化ガス排出の削減に取り組まずに、植林やCO2捕捉技術への投資に注力するのは非生産的だと指摘する。科学者のほとんどは、気候変動の主因は化石燃料を燃やすことで排出される温暖化ガスとの見方だ。
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会で「木を植えるのは無論良いことだが、全く十分ではないし、気候変動の緩和や生態系の回復の代わりにはならない」と訴えた。