[ジュネーブ/ソウル 19日 ロイター] - 北朝鮮の在ジュネーブ国際機関代表部大使を務める韓大成(ハン・テソン)氏は19日、北朝鮮は入国時に発熱を示している外国人や帰国者などに対し厳密な検疫を実施しているが、新型コロナウイルスの感染例はまだ見つかっていないと述べた。
これに先立ち、世界保健機関(WHO)は19日、北朝鮮で新型ウイルスの感染者が出た兆候はないと表明。一方、韓国の一部のメディアは、北朝鮮で複数の感染例があり、死者が出ている可能性もあると伝えていた。
韓氏によると、北朝鮮当局は隔離期間を新型ウイルスの潜伏期間である14日間の約2倍に当たる30日間に延長したという。
韓氏はロイターに対し「新型コロナウイルスの感染例はない。特定の地域で、特定の期間に厳密な検疫が行われている」と指摘。感染の疑いがある人として他国からの旅行者や帰国した北朝鮮人を挙げた。
また「科学的結果によると、新型コロナウイルスは3週間後でさえ発症する可能性がある。そのため隔離期間を30日間に延長した。予防は治療よりも費用がかからない」と述べた。
WHOのタリク・ヤシャレビチ報道官は、北朝鮮から2月9日までの6週間にわたり約7300人の入国者を検疫したとの報告を受けたと発表。そのうち141人に発熱が見られ、検査を受けたが、いずれも陰性だったとした。
WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏はジュネーブで会見し「現時点でそのような兆候は全くない」と発言。北朝鮮で「特定の問題が起きていると信じる理由はない」とした。
北朝鮮とWHOの当局者は19日にジュネーブで会合を開く予定。ヤシャレビチ報道官によると、WHOは北朝鮮に対し検査に使用される実験用試薬や医療関係者用のゴーグル、手袋、マスク、ガウンなどの備品を提供するという。
米国務省は先週、新型コロナウイルスの影響が北朝鮮に及ぶ可能性に「深い懸念」を示し、同国での感染拡大阻止に向けた取り組みを支援する用意があると表明した。
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