[ウェリントン 25日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は25日、サイバー攻撃が銀行・保険業界の利益を毎年約2━3%奪い去る恐れがあるとする調査報告書を公表し、対策の必要性を訴えた。
NZ中銀の推計によると、サイバー攻撃は銀行業界に毎年1億0400万NZドル(6600万米ドル)、保険業界には毎年3800万NZドル(2400万米ドル)の損害を与える可能性があり、これは2つの業界の年間利益の2━3%に相当する。
また、どの年でも損害が23億NZドルを超える可能性が5%あるという。
報告書は「これらの数字は管理可能に見えるかもしれないが、これらの年間のコストが5年、10年にわたって累積すればその影響は大きい」と警告している。
政府の「NZコンピューター緊急対応チーム」(CERT NZ)によると、2018年に国内の機関に対して行われたサイバー攻撃の60%以上が金融・保険サービス業界の企業をターゲットにしていた。
NZ中銀は「サイバーセキュリティーを巡る事件の頻度や深刻さが増している中で、この調査は、金融業界が緊張感をもってサイバー攻撃のリスクに効果的に対処する必要性を如実に示している」としたうえで、リスク管理に関する指針の策定や、業界およびその他の公共機関との情報共有の促進など、中銀としても金融システムの耐性強化に努めていると表明した。