[シドニー 6日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバル・レーティングは6日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃について、アジア太平洋全体で総額2110億ドルに上る可能性があるとの試算を示した。2020年の中国の成長率見通しは従来の5.7%から4.8%に引き下げた。
オーストラリアの成長率は19年の2.2%から1.2%に急減速すると予想し、日本の成長率は0.5%ポイント、韓国は1%ポイント、それぞれ下押しされる見通しとした。
S&Pはリポートで「感染報告が低水準にとどまっている国・地域でも地域的な感染があり、中国では労働者が職場に戻るに伴い二次感染がある。これに加え、金融状況も引き締まっているため、リスクバランスは依然として下振れの方向だ」と指摘した。
香港の今年の成長率はマイナス0.8%、シンガポールはゼロ成長、タイは1.6%成長と予想した。
インドネシア、マレーシア、フィリピン、インドについては、確認された感染者数が依然低水準にとどまっているとして、成長見通しの下方修正は見送った。ただ、検査が限られていることが感染者数が少ない理由であり、これらの国にも金融市場の混乱が波及した場合、見通しは急速に悪化すると指摘した。