[北京/上海 11日 ロイター] - 中国本土で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急対応レベルを引き下げ、人やモノの移動制限を緩和する地域が増えている。10日には習近平国家主席がウイルスの発生源である湖北省武漢市を訪問した。
中国国家衛生健康委員会の11日の発表によると、10日時点の中国本土での新型コロナウイルスの新たな感染者は24人と、前日の19人から増加した。ただ、このうち10人は海外での感染とみられ、国内での感染が減少していることが安心感につながった。
感染者は累計8万0778人となった。
死者数は累計3158人で、10日に22人増えた。
10日の死者は全て湖北省で確認され、このうち19人は省都武漢で確認された。
新たに感染した人の数は4日連続で減少していたが、海外で感染した人の入国により再び増加に転じた。新たに感染した人のうち、海外での感染は10人だった。海外から持ち込まれた感染例は計79人となる。
北京ではイタリアと米国から入国した人の感染6件が確認された。上海でも2人、山東省と甘粛省でそれぞれ1人、入国者の感染が確認された。国内での感染拡大が減少するにつれ、政府は海外からの流入に警戒を強めている。
一方、台湾でも海外での感染例が増加している。台湾当局は11日、48人目の感染例を確認したと発表。この患者は英国旅行から戻ったばかりの30代女性で、現地で感染した可能性が高いという。
発生地の湖北省の感染は引き続き安定し、新規感染者数は6日連続で減少している。10日の新規感染者数は13人で、すべて武漢市だった。
湖北省は一部の地域で人やモノの移動制限を緩和。湖南省と重慶市は緊急対応レベルを引き下げた。これまでのところ、24の地方自治体や地域・省が緊急対応レベルを引き下げている。
湖北省政府はウェブサイトに掲載した通知で、武漢の公共交通機関の従業員、および医療用品や日用品の製造に従事する労働者は職場への復帰が可能との判断を示した。また、国内や世界のサプライチェーンに影響するその他業界も関連当局の許可のもとに業務を再開できるとした。
武漢は中国の「デトロイト」の1つとして知られ、中国国内で製造される自動車の10%近くを占め、数百の部品サプライヤーが拠点を構えている。
中国全体で製造部門がゆっくりと通常に戻りつつある。
ユーラーヘルメスのシニアエコノミスト、フランソワーズ・フアン氏は顧客向けノートで、中国経済の操業水準は依然として通常を約25%下回っているものの、4月末までに完全に回復するとの見通しを示した。
日産自動車 (T:7201)は11日、湖北省襄陽市と河南省鄭州市の工場で週内に一部生産を再開する予定だとした。
また、ホンダ (T:7267)は、休業していた中国湖北省武漢市の工場(四輪⾞の製造・販売)で、一部の従業員が出勤し、少量の台数から生産の再開を始めたと発表した。
一方、湖北省潜江市は緩和方針を撤回し、厳しい移動制限を維持すると発表。山東省も、北京や湖北省との交通路をまだ再開していない。
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