[シドニー 18日 ロイター] - モリソン豪首相は18日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、すべての国への渡航に関する警戒水準を最も高い「レベル4」に引き上げ、「海外渡航禁止」を勧告した。
首相は人類のバイオセキュリティー上の緊急事態と宣言、100人以上の不要不急の屋内集会を禁止した。
緊急事態が正式に宣言されたことで、政府は新型ウイルスの感染拡大阻止に必要と判断した場合、都市や地域を封鎖したり、夜間禁止令や検疫措置を発動したりする権限を得る。
首相は、500人から100人に規模を縮小した不要不急の屋内集会禁止措置について、学校や公共交通機関、ショッピングセンターなど必要不可欠なサービスは対象外だと説明。
専門家の保健指導を理由に学校は休校にしないと表明した。この戦略は一部の専門家の間では疑問視する声もある。複数の私立学校はイースター休暇を前に独断で休校に踏み切っている。
モリソン首相はテレビ演説で、海外に渡航しないよう全国民に勧告すると述べ、こうした措置は同国史上初めてだとした。
オーストラリアの新型ウイルス感染者は500人近くに上り、死者は6人となった。他国と比べるとまだ少ないものの、当局者は急速な感染拡大に警戒感を強めている。
この日は国内で最も人口の多いニューサウスウェールズ州で、新たな感染者が急増し、1日の増加ペースとして最大を記録した。シドニーの病院で86歳の男性1人も死亡した。
首相は、社会的距離の確保や手洗い徹底の重要性を改めて強調し、高齢者施設への訪問を制限することも明らかにした。
政府の公式サイトでは、海外渡航禁止が勧告されている期間に出国した場合、海外で問題が生じても政府の支援を受けられない可能性があるとの警告が発せられている。すでに国外にいる国民には帰国を呼び掛けている。
海外渡航や国内の移動の制限措置拡大を受けて国内の旅行、小売り、娯楽セクターが大きな打撃を受けるとみられ、エコノミストは2020年上期にオーストラリアが約30年ぶりのリセッション(景気後退)に陥り、失業率が大幅に悪化すると予想している。
豪政府は18日、国内航空管制料の免除などを盛り込んだ航空会社向け支援策を発表した。
前週には、176億豪ドル規模の景気刺激策を発表している。[L4N2B5163]
モリソン首相は18日、政府が「追加経済対策をかなり幅広く検討している」と述べた。
また「これは100年に1度しか起こらないような状況だ」としたうえで、「政府はこの国が機能し続けるよう取り組む」と表明。「通常とは様相が異なるだろう」と述べた。
*内容を追加しました。