[シンガポール 28日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は28日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が長期化すれば各国の景気回復に影響が及び、国内経済が想定されているよりも深刻な景気後退(リセッション)に陥る可能性があるとの見通しを示した。
MASは半期に1度公表するマクロ経済見通しで「景気低迷の深刻度と最終的な回復について、かなりの不透明感が引き続きある」と指摘し、「下振れリスクが現実化すればシンガポールの経済成長は予想レンジを下回る可能性がある」との見方を示した。
今年の経済成長率はマイナス4─マイナス1%と予想されているが、国内外の厳しい感染封じ込め措置や原油価格の大幅下落が景気下振れリスクを高めていると指摘した。
国内経済が過去最悪のリセッションに直面するなか、MASは先月金融政策を緩和した。
第1・四半期の経済成長率はマイナス2.2%と、2009年の金融危機以来の大幅なマイナスを記録した。
MASは、主要貿易相手国でのウイルス感染の深刻化や、国内の厳しい感染防止策により、第2・四半期の成長率は一段と落ち込むと指摘した。
失業率は上昇し、賃金は下落する可能性が高く、2020年の消費者物価はコアと総合共に2002年以降で初めて下落するとの見通しを示した。
一方、大規模な資本流出や資金のひっ迫は起きていないと説明した。