[ウェリントン 28日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)で27日深夜、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため3月に導入された厳しい外出制限が緩和され、約40万人が28日から職場に復帰した。アーダーン首相は、外出制限によってウイルスの国内感染がほぼ収まったと評価した。
首相はテレビ中継された記者会見で、外出制限によって国内の新型コロナウイルス感染は事実上、排除されたと指摘した。28日の新規感染者は2人にとどまり、累計の感染者数は1124人、市中感染率は0.4%となった。死者は計19人。
ただアーダーン首相は、警戒態勢の「レベル4」から「レベル3」への引き下げは第1歩にすぎないとし、すべての制限が解除されるまでには数週間かかると強調。「闘いは続いている」とし、「次の段階に入ったのであり、終わったわけではない」と述べた。
レベル3では、ショッピングモールや飲食店、理髪店などは閉鎖が続く。アーダーン首相は、レベル3の態勢を少なくとも2週間継続し、「レベル2」への緩和は5月11日に状況を踏まえて判断すると表明。一部の制限が再導入される可能性もあるとくぎを刺した。
さらに、「レベル1」への引き下げや危機終息の時期について現時点で見通しは立っていないとし、第2波への警戒を訴えた。
ニュージーランド国内の感染状況を巡っては、「排除」という表現を使うべきか議論が広がっている。アーダーン首相は「排除は感染者ゼロという意味ではない」とし、「継続的な取り組みであり、感染に対するゼロ寛容という意味だ」と説明した。
アーダーン政権は9月の総選挙に向け、貿易や観光に依存する経済の再開という課題に直面する。
首相は議会でこの日、レベル3の態勢で経済活動は通常の60─70%まで回復すると説明した。
ウエストパック銀行は28日のリポートで、同国の今年の国内総生産(GDP)が6.3%減少すると予想した。また、同国中銀は300億NZドル規模の量的緩和を来月にも2倍に拡大し、11月に政策金利をマイナス0.5%に引き下げる必要があるとの見方を示した。