[台北 8日 ロイター] - 台湾財政部が発表した5月の輸出は3カ月連続で減少したものの、市場予想より小幅な減少にとどまった。財政部は新型コロナウイルスの世界的流行による世界需要への影響や米中関係の緊張を踏まえ、先行きに慎重な見方を示した。
5月の輸出は前年比2%減の270億ドル。ロイター調査による予想は4.7%減だった。4月は1.3%減。
財政部によると、通信関連や最先端半導体への需要が旺盛で、繊維、プラスチックなどさまざまな製品の世界的な消費低迷の影響を相殺した。
通信関連製品やハイテク製品の輸出は前年比約11%増加し過去3番目の高水準だった。財政部は通信関連輸出の好調は、新型コロナ危機や米中通商問題の再燃に阻まれる可能性があると指摘。
「対外貿易は高度の不確実性に直面している。先行きは慎重になる公算」と声明で述べた。
輸入は前年比3.5%減。エコノミスト予想(2.1%減)以上の減少となった。
財政部の統計当局幹部は、最大の貿易相手である中国向けの6月の輸出を前年比2─5%減と予想した。
台湾は厳しい封鎖措置を取らずに新型コロナの感染拡大を抑え込んでいるが、当局は経済を巡る不確実性を繰り返し警告し、1兆0500億台湾ドル(353億4000万ドル)規模の景気対策を打ち出している。また、製造業に中国からの生産拠点移転を促し、外国企業の誘致にも取り組んでいる。
行政院(内閣)主計総処は2020年の成長率が5年ぶりの低水準に鈍化すると予想している。