[ベルン 18日 ロイター] - スイス国立銀行(中銀)は18日、超緩和的な金融政策を維持し、「高水準の」スイスフランの一段の上昇を抑えるため、「引き続き、より強力に為替市場に介入する意向」を表明した。
スイス中銀は中銀預金金利をマイナス0.75%に据え置いた。
ロイターのエコノミスト調査でも、据え置きが予想されていた。
中銀は「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)、およびそれを防ぐための措置によって経済活動が大きく落ち込み、国内外のインフレが低下した。スイス国立銀行の緩和的金融措置は、国内の金融の状況を適切にするために引き続き必要」とした。
新型コロナの感染拡大と、それを受けた規制措置により、2020年にスイス経済は約6%縮小すると予想。
20年の消費者物価予想は0.7%低下とし、3月の予想(0.3%低下)から低下幅を拡大した。21年の消費者物価は0.2%低下、22年は0.2%上昇との予想を示した。
中銀のジョルダン総裁は会見で、拡張的な金融政策はスイスが新型コロナ流行に伴う経済的な影響に対処するのを支援していると説明。マイナス金利が企業にとって好ましい資金調達環境をもたらしているほか、中銀は安全資産のフランが上昇するのを防ぐため外貨購入を強化しているとした。
総裁は「既に割高となっているスイスフランがさらに上昇すればわれわれの経済にとって困難がさらに強まることになる」とし、「前回の金融政策判断以降、われわれはそのために大幅な介入を実施した」と付け加えた。
安全逃避の買いでスイスフランは先月、対ユーロでほぼ5年ぶり高値に上昇した。総裁は、ここ数週間で「かなりの介入」を実施したと述べたが、状況はこのところ緩和しているという。
信用ひっ迫を防ぐため、マイナス金利を適用しない銀行のオーバーナイト資金拡大や、新型コロナ対応ファシリティーでの流動性供給を拡大していると総裁は説明した。
また、経済活動は徐々に回復しているものの、不透明感は引き続き強く、スイス経済は厳しいリセッション(景気後退)のさなかにあるとの認識を示した。その上で、ロックダウン(都市封鎖)措置の緩和で経済活動は5月に幾分上向いており、2021年にはプラス成長を見込んでいるとした。
中銀がインフレ予想を引き下げたことについてエコノミストは、当面は緩和政策を維持するとの見方を示した。
EFG銀行のエコノミストは、「中銀はハト派バイアスを明確に維持した。新たなコロナ感染リスクが顕在化すれば、マイナス金利の深掘りではなくとも、追加緩和への門戸を閉ざさなかった」と指摘。
そのうえで「フォワードガイダンスを明確に示さなかったが、インフレ見通しの大幅な下方修正により、マイナス0.75%の政策金利が今後数年は維持される可能性が高い」と述べた。
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