[ワシントン/メキシコ市 18日 ロイター] - 米財務省は18日、ベネズエラ政府が米国の石油制裁を逃れるのを助けたとして、メキシコ企業を含む外国の8団体、3個人などを制裁対象とした。
同省がベネズエラの石油取引への関与でメキシコ企業に正式に制裁を科すのは初めて。
米国は昨年初め、ベネズエラの左派マドゥロ大統領に圧力を掛けるために産油国ベネズエラの石油産業への制裁を強化。
この制裁逃れに関与したとされる今回の制裁対象には、メキシコ企業のリブレ・アボルドと関連会社シュラガー・ビジネス・グループ、その共同オーナーら、ベネズエラ国営石油会社PDVSAからのベネズエラ産原油購入・売却をとりまとめていたメキシコ人も含まれる。
リブレ・アボルドは、米政府が同社を無関係の組織と関連付ける誤りを犯していると主張。弁護士が米国決定を精査するとした。同社はロイターに対し、「当社のベネズエラへの人道支援は制裁対象となるべきではない」と訴えた。
今回の制裁により、対象となった各個人と団体の米国資産は凍結され、米国の個人・団体との取引も原則禁止される。
リブレ・アボルドとシュラガー・ビジネス・グループはマドゥロ政権と昨年半ばに2つの契約を結び、アジア市場で転売する目的で昨年末からベネズエラ産原油を仕入れ始めた。
この契約は石油・食料交換契約で、米国の制裁対象外。メキシコの2社はこの契約でベネズエラにトウモロコシ21万トンを供給するはずだった。
PDVSAの文書によると、今年5月まででメキシコの2社はベネズエラ産原油3000万バレル超を受け取った。2社は代わりに給水車約500台を供給したが、食料は送っていなかった。リブレ・アボルドは、原油価格が極めて低かったため予定通りに進まなかったと説明した。
ポンペオ米国務長官は声明で、石油・食料交換契約の下で「当該企業は人道支援のための資金から数百万ドルを横領した上、約束した食料をベネズエラ国民に届けなかった」と批判した。
ロイターは先月、米連邦捜査局(FBI)が財務省向けの情報収集のため、ベネズエラ産原油の取引に関与したとみられるメキシコと欧州の企業を調べていると伝えていた。
ベネズエラのアレアサ外相は18日、米政府の発表を受け、「彼らはベネズエラで食料、医薬品、ガソリンを欠乏させるため、ベネズエラから原油を輸出できなくさせたいのだ」とツイッターに投稿。ポンペオ氏に対し、「あなたがたの行為と制裁は犯罪だ」と非難した。
一方、ミューズニッチ米財務副長官は声明で「米国は引き続き、制裁逃れを厳しく取り締まる」と表明した。
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