[ロンドン 14日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は14日に公表した月報で、世界経済が新型コロナウイルス危機から回復することで、2021年の世界石油需要の増加幅は過去最大の日量700万バレルに急回復することが見込まれるものの、19年の水準を上回ることはないとの見方を示した。
OPECが21年の見通しを示すのは初めて。米中貿易摩擦や高水準の債務、新型コロナ感染第2波など一段の下振れリスクが発生しないことが前提という。
OPECは「主要国を中心に新型コロナ感染症が抑制され、パンデミック(世界的大流行)に対する大規模な景気刺激策が支えとなり、家計消費や投資が回復することを前提にしている」とした。
20年の石油需要の減少幅については日量895万バレルを想定。減少幅は前月の発表からやや縮小した。
21年は、原油需要が600万バレル増の日量2980万バレルと、石油需要の伸びの大半を占めるものの、効率化とリモートワークが伸びを抑制し、19年の過去最高水準を下回る見込みとした。
OPEC非加盟国による石油供給については、20年に日量326万バレル減少する一方、21年には92万バレル増加すると予想した。
エナジー・アスペクツの共同創業者、アムリタ・セン氏はOPECの需要回復予測は楽観的な可能性があると指摘。21年の石油需要は日量約500万バレル増加すると見込んだ。
米産油量について、OPECは20年に137万バレル減、21年に24万バレル増を想定。19年は170万バレル増だった。
OPECの6月の産油量は189万バレル減の日量2227万バレル。ロイターの計算によると、協調減産合意の順守率は110%超と、5月の84%から上昇した。
20年の原油需要見通しは日量2380万バレルと、前月予想を20万バレル引き上げた。6月産油量を約150万バレル上回っており、現在の産油量が維持されれば20年は供給不足になることを示唆している。
減産にもかかわらず、先進国の原油在庫は5月に2990万バレル増加し、31億6700万バレルと5年平均を約2億1000万バレル上回った。