[国連/ドバイ 20日 ロイター] - 米国は20日、イランが2015年の核合意を履行していないとして、国連安全保障理事会に書簡を送り、同国に対する国連制裁の全面復活に向けた手続きを開始した。
制裁復活を求める米国の動きは、核合意に基づきイランに対する国連の武器禁輸措置が10月に解除されることなどを踏まえたものだが、イランは核合意から離脱した米国に制裁復活を求める権利はないとして反発。ロシアなど他の当事国も反対している。
ポンペオ米国務長官は安保理への書簡で、イランは核合意の柱となる制限措置の多くに違反していると指摘した。
また記者団に対し、核合意について、オバマ前大統領が交渉した「不均衡でばかげた」合意だと批判。「武器禁輸措置を延長しないのは大きな間違いだ」と述べた。
イランのラバンチ国連大使は安保理が米国の動きを阻止することに確信を示した。
ラバンチ氏は、ポンペオ長官の会見後、記者団に対し「ある安保理常任理事国が子供のように振舞い、他の国際社会のメンバーから冷笑を買っている」と述べた。
イランのザリフ外相は、同国に対する全ての国連制裁を復活させる権利は米国にはないとし、安保理に対し、米国による対イラン制裁復活に向けた手続き開始通知を拒否するよう求めた。
国連宛ての書簡で、「米国による対イラン国連制裁復活に向けた動きは危険な結果をもたらすだろう。イランは誠意を持って自制してきた。今こそ、米国の違法な動きに対抗する国際社会の出番だ」と指摘。米政府はすでに核合意から離脱しているため、「スナップバック」と呼ばれる制裁復活手続き開始を申し入れる権利はないとした。
ロシアの国連大使は、現在の核合意締結国のみが制裁復活手続きを開始することができるとし、イランの主張を支持した。
ロシアは、この問題について議論するため、21日に国連安保理の会合を開くことを要請した。
イランの高官3人が今週、ロイターに明らかにしたところによると、同国の指導部は核合意に引き続きコミットする意向で、米大統領選でバイデン前副大統領が勝利することに期待を示しているという。
バイデン氏は核合意について、イランが順守を再開すれば、米国として再び復帰する意向を示している。
*内容を追加しました。