[モスクワ/ミンスク 21日 ロイター] - 大規模な反政権デモが続いている旧ソ連のベラルーシで、反政権派が政権移行に向け設立した「調整評議会」の主要メンバー2人が21日、刑事事件に関与したとして当局に事情聴取された。政権側は2人は権力掌握を試みた疑いがあるとしている。
事情聴取を受けたのは、調整評議会のマクシム・ズナク氏とサルヘイ・ディレウスキ氏。弁護士のズナク氏は事情聴取前、逮捕される可能性もあると語っていたが、事情聴取を終え、待ち受けていた支援者に対し「生産的な話し合い」が行えたと述べた。
調整評議会は政権移行に向け今週設立され、ノーベル文学賞作家ら著名人も参加している。
大統領選でルカシェンコ氏と争ったスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は出国先のリトアニアで記者会見で、安全が確認され次第、帰国すると表明。また、ロシアから何の接触も受けていないことを明らかにした。
ベラルーシで26年間にわたり実権を掌握してきたルカシェンコ大統領の権力が揺らぐ中、ベラルーシを自国の影響圏にとどめたいロシアと、民主化運動に支持を示しながらもロシアの介入は回避したい西側諸国との間の綱引きが激しくなっている。
ロシア大統領府に近い関係筋はロイターに対し、プーチン大統領はルカシェンコ氏が権力を当面維持するとの見方を持っていると指摘。ただロシア政府は、ルカシェンコ氏を一貫性がなく好戦的であると見なしており、プーチン氏との関係も良好でないことから、ルカシェンコ氏が困難に直面するのを傍観するとし、「ロシアはルカシェンコ氏を好んでいないが、それでもまだ支援している」と述べた。
別の関係筋は「ルカシェンコ政権は決定的に弱体化させられ、ロシアはこれを利用する」と述べた。
欧州連合(EU)は19日に開いた緊急首脳会議で、ベラルーシ大統領選の結果を認めないとし、選挙の不正や抗議活動の取り締まりに関与したとみられる当局者らに金融制裁を科すことを決定した。
ただ、欧州は現在も紛争が続くウクライナの二の舞は踏みたくないため、ベラルーシ問題に対し慎重な姿勢を示している。EU高官はロイターに対し「ベラルーシはウクライナとは異なる。ベラルーシの国民はEUと緊密な関係を築きたいとは考えていない」とし、EUはベラルーシ当局に対し「EUとロシアとの間の地政学的な均衡を崩さないようにしながら」反政権派と対話を行うよう呼び掛けていると述べた。