[チューリヒ 27日 ロイター] - スイス経済省経済事務局(SECO)が27日発表した第2・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比8.2%減と、四半期統計を開始した1980年以来の大幅なマイナスを記録した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が打撃となった。
第1・四半期GDPは当初発表の2.6%減から2.5%減に改定された。
SECOは「国内の経済活動はパンデミックと感染拡大を抑制するための措置により大幅に制限された」とし、世界経済が景気後退に陥ったことも輸出依存型のスイス経済の重しとなり落ち込みが悪化したと分析。ただ、他国と比べて持ちこたえたと指摘した。
好調な製薬部門は販売が増え、製造業が一段と落ち込むことを防いだ。時計や機械のメーカーは低迷した。
サービス部門も打撃を受けた。ホテルやレストランの営業停止や観光客の急減で、宿泊・食品サービスは54.2%減った。
スイス経済は景気後退入りした。景気後退の定義は2四半期連続の減速とされている。2018年末にも景気後退入りしたが、落ち込みは今回よりはるかに小さかった。
スイスの主要な市場も大きな打撃を受けた。ドイツ経済は第2・四半期に9.7%減と過去最大の落ち込みを記録した。消費支出と設備投資、輸出が全て大幅に低迷した。
フランスの第2・四半期GDPは13.8%減と、第二次世界大戦以降最も大幅なマイナスだった。英国のGDPは20.4%減と、過去最大の落ち込みだった。
SECOのエコノミスト、ロナルド・インダーガンド氏は、スイスは他国より封鎖措置を早く解除したため、より一層落ち込むことが防げたと指摘。「景気は悪いが、当初予想ほどではない」とし、現在は回復しているとの見方を示した。
通期のGDPは政府が6月に示した見通しである6.2%減よりも小幅な落ち込みにとどまるとし、「完全に持ち直すまでには1年か2年かかる。21年末までには危機前の水準に戻る可能性がある」と予想。また、スイス経済が中長期的に成長するためには改革と研究開発が欠かせないと話した。