[上海 4日 ロイター] - 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は専門家の話として、米中間の対立激化を受けて、中国が米国債の保有を段階的に削減する可能性がある、と報じた。
上海財経大学のXi Junyang教授は、「中国は通常の環境下でも、米国債の保有残高を8000億ドル程度にまで徐々に引き下げるだろう」との見方を示した。詳細な時間軸は示さなかった。その上で、「もちろん、全額売却するのは軍事衝突の発生など極端な場合のみだ」とした。
中国は米国債の保有残高で世界2位。6月の残高は1兆0740億ドルで、5月の1兆0830億ドルから減少した。
中国は今年に入って、米国債保有残高を一貫して縮小させている。
保有残高が8000億ドルとなれば、現在の水準から25%以上圧縮することになる。アナリストは、中国が米国債の大量売却に動くことを「核オプション」と呼び、世界金融市場の動揺の引き金になると指摘している。
また同紙は、米国債売却のもう1つの理由として、米国のデフォルトリスクを挙げる。米国の政府債務の対国内総生産(GDP)比率は、第二次世界大戦終戦以降で最大の水準である約100%まで急上昇しており、世界的に安全ラインとされる60%を大きく超過している。