[東京 5日 ロイター] - 在日外国人の支援活動を行う弁護士グループなどが5日、都内で記者会見を開き、国連の「恣意的拘禁作業部会(WGAD)」が9月に、日本の入管収容制度における長期収容について、国際法違反で「恣意的」であるとし、日本政府に意見書が送付されたことを明らかにした。
日本の入管収容分野で、同作業部会が「意見」を出すのは初めてのことだという。会見の主催者が明らかにしたWGADの意見書によると、同作業部会は申し立てを行った被収容者2人の事案について「日本が国際法の下で負う義務に反していると認める」とし、世界人権宣言と国際法に違反し恣意的である、と結論。そのうえで、日本政府に対し、必要な措置をとるよう求めている。
会見では申し立てを行った元被収容者2人が「入管は、理由もないのに自分たちを捕まえることをやめてほしい」などと訴えた。出入国在留管理庁は、国外への退去強制が決まった外国人について、送還されるまでの間施設に収容するとしているが、実際は理由が示されないまま数年間にわたって収容が長期化するなどの事例が多く、人権団体などが問題視している。
会見に参加した立憲民主党の石橋通宏参議院議員は「国連が明確に国際法違反だと指摘したことを重大に受け止め、改善、解決に向け入管法を改正していかなければならない」と述べた。
出入国在留管理庁は、9月末に外務省を通じてWGADの意見書を受理したことを認めたが、これに対する対応、見解については「個別の案件についてはコメントできない」としている。
入管庁の施設における外国人の長期収容を巡っては、昨年、抗議のためハンガーストライキが各地で起き、6月にストライキ中のナイジェリア人男性が死亡するなど、問題が深刻化していた。このため法務省は有識者による専門部会で対策を議論し、今年6月に提言が出された。
それを受けて入管庁では、難民申請中の外国人などについて、一定の条件のもとに社会での生活を認める措置の新設を検討している。ロイターの取材に対し、入管庁が認めた。次期国会に、法改正案が提出される可能性がある。
(宮崎亜巳)