[ロンドン 30日 ロイター] - 英アストラゼネカは30日、オックスフォード大学と共同開発した新型コロナウイルスワクチンの条件付き販売承認獲得に向け、欧州医薬品庁(EMA)にワクチンの全データを提出したと明らかにした。
アストラゼネカの広報は、同社がワクチンに関するデータを逐次ベースで提出してきたとし、条件付き承認の申請プロセスを正式に始めるため、引き続きEMAと連携していくとした。
EMAは、21日にアストラゼネカから臨床試験に関する最新のデータパッケージを受理したと確認しつつも、承認には「ワクチンの質、安全性、効果に関する追加情報が必要で、アストラゼネカに提出を要請した」と述べた。
英国はこの日、アストラゼネカ製の新型コロナワクチンを世界で初めて承認。医薬品委員会のコロナワクチン作業部会議長を務め、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の決定にも関与したムニール・ピルモハメド氏は「最初の投与から2回目の投与まで3カ月の間隔を置いた場合、予防効果は最大80%まで高まることが分かったため、ワクチンの承認を勧告した」と記者団に述べた。
EMA関係筋は、アストラゼネカ製ワクチンの承認に当たり、EMAは1回目の接種の投与量よりも2回目の接種時期に注目すると指摘。「現在はパンデミック(世界的な大流行)のさなかにあるため、1回目の接種で十分な免疫が得られることが必要になる」とし、1回目の接種後にどの程度の免疫効果が得られるかが焦点になっていると明らかにした。
同ワクチンの臨床試験(治験)の中間発表では、半量投与後に全量を投与する場合の方が2回の全量投与よりも高い有効性が示されている。ただその後、オックスフォード大学は、全量投与後に半量を投与する場合よりも2回の全量投与の方が良好な免疫反応が得られたと発表した。
EMA当局者は、2回の接種を双方とも全量とすることが検討されており、1回目の投与量を半量にすることは取り上げられていないとし、「2回目の接種について、容量よりも時期の方が有効性に大きな影響を及ぼすと考えるのが理にかなう」と述べた。
ただ、治験結果がまちまちとなっていることで規制当局によるデータ評価が難しくなっていると指摘。「治験では2回目の接種が4週間後だった場合と、12週間後だった場合があった。このため、治験結果の解釈が難しい」と述べた。
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