[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は5日、金融政策報告を発表した。国内経済は新型コロナウイルスの封じ込めに成功していることから大きく改善しているとした上で、最も楽観的なシナリオでも、賃金の伸びとインフレ率は2023年半ばまで依然として低過ぎる水準にとどまるとの見解を示した。
コアインフレ率は早くても2024年まで2─3%の目標レンジに達しない見込みだとし、この水準に到達するまで金融政策支援を継続することにコミットすると表明した。
豪中銀は基本シナリオで、経済が今年と来年にそれぞれ3.5%拡大するとし、2023年半ばまでに失業率は5.25%に改善し、コアインフレ率は1.75%に上昇すると予想した。
より楽観的なシナリオでは、新型コロナを巡る状況が落ち着き、失業率が2022年末までに4.75%に低下するとみている。
中銀は「インフレ率はやや加速するものの、2023年半ばまで依然2%を下回る水準にとどまる」とした。
基本シナリオでは、賃金の年間上昇率も、現在の約1.25%という過去最低水準から上向きはするが、2023年半ば時点で2%にしかならない見込み。中銀はインフレ率が2%を超えるには賃金の伸びが3─4%になる必要があるとみている。
失業率に関しては4.5%以下に低下する必要があると考えており、現在の6.6%から大幅な改善が必要になる。
中銀はこうした状況から今週の理事会で、政策金利を過去最低の0.1%に据え置き、債券買い入れの1000億豪ドル増額を決定した。
多くのアナリストは、賃金の伸びとインフレ率押し上げに向けた課題の大きさを踏まえ、中銀が年内に債券買い入れをさらに拡大すると予想している。
2024年まで低インフレが続くという中銀の予想は、今後3年間、超緩和政策が維持される可能性を示す。
一方で、豪経済は新型コロナの感染拡大による打撃から予想よりも早期に回復している。ウイルス封じ込めに成功しているほか、大規模な金融・財政刺激策が家計の所得や支出を押し上げ、住宅・建設ブームにつながっている。
中銀は昨年の国内総生産(GDP)について、現在は2%減少したとみており、従来予想の4%減から上方修正した。
失業率についても、10%以上に悪化する可能性を懸念していたが、すでにピークを打ったとみている。
中銀は、不透明要因として、財政支援の一部が縮小される3月以降の消費動向を挙げた。
*内容を追加します。