[北京 8日 ロイター] - 中国農業農村省は8日、アフリカ豚熱(ASF)の違法なワクチン生産・販売の取り締まりを強化する方針を示した。
同省は2019年から違法ワクチンに対する警戒を呼び掛けているが、問題が深刻化していることが浮き彫りとなった。
同省は「偽のASFワクチンの潜在的なリスクを予防し、豚肉生産全般の回復と安定した産業の発展を維持するため」一段と厳しい措置が必要だと表明した。
ロイターは1月、業界関係者の話として、違法ワクチンの利用で新型の慢性的なASFが発生しており、豚肉生産が減少する可能性があると報じていた。
中国ではASFの流行で豚肉生産が急減。現在は回復途上にあるが、アナリストや業界関係者によると、冬季にASFの感染が再拡大し、豚肉生産の回復に遅れが出ている。
現時点でASFワクチンを承認している国はないが、業界関係者によると、特定の遺伝子を削除した生きたウイルス株が、感染対策として中国で広く流通しているとみられる。
同省は、ASFの識別と検査を強化すると表明。地方政府に対し、人工的に遺伝子を削除されたウイルス株が見つかった場合は直ちに畜産当局に報告するよう要請した。
また、すべての地方自治体に対し、偽ワクチンの不正取引に対する処罰を強化するよう要請。犯罪行為が疑われる場合は迅速な司法当局への報告を求めた。
不正行為に関わった医薬品メーカーには、最大限の罰金を科し、免許を取り消すほか、関与した個人は、動物用医薬品の製造を一生涯禁じられる。
同省は偽ワクチンのリスクを農家に教育するキャンペーンも計画。偽ワクチンの利用について当局に情報を提供した人には3万元(4600ドル)が支給される。
ASFは、最近も四川省、湖北省、雲南省で報告されるなど全国で公式に報告されているが、アナリストは、実際の感染ははるかに広範に及んでいると指摘している。
コンサルティング会社、北京恩睿康農業技術諮詢の専門家は「ASFは非常に深刻な問題で、このところ制御不能なほど、非常に深刻になっている」と指摘。
政府の対応は評価できるが、ASFに感染した豚を食肉処理場に送ることを禁じる措置に一部の生産者が従わないケースも出てくるだろうと述べた。
省政府は、ワクチン利用防止対策の状況を6月30日までに提出する必要がある。2回目の提出期限は11月30日。
中国の動物疾病予防管理センターと動物衛生疫学センターは、「新型」のASFに関する疫学調査を強化する。
研究者によると最近、複数の変異ウイルスが見つかっている。
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